坂本勇人(さかもと はやと)の高級クラブ飲食は交際費等に該当する?
「税務申告において、必要経費であるかどうかは『自らの収入を得るために必要なのか否か』を基準に判断されます」と税理士の浦野広明が解説しています。
国税が国税庁HPにおいて解説する「(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額」の「業務上の費用の額」の解釈として正しいと考えられ、週刊誌報道による坂本勇人(さかもと はやと)の同僚との高級クラブでの飲食は必要経費にならないという結論も、TAXMANIA55と一致しています。
それでは「坂本勇人(さかもと はやと)の飲食費用は必要経費に該当する」というSNS上の主張の根拠は何処から来ているのでしょうか?中には堂々と税理士を名乗る方も同様の主張をしていて、一般の人は何が正しいか分からない状況にあるでしょう。
ヒントは、租税特別措置法第61条の4第6項の交際費等の定義にあります。
租税特別措置法第61条の4はあくまで、法人税法を読み替える規定であって、所得税には及びません。
⑴交際費、接待費、機密費その他の費用で、
⑵法人が、
⑶その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する
⑷接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(「接待等」)のために支出するもの
「⑶その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する」は社内の者も含まれていて、「⑷接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(「接待等」)のために支出するもの」はかなり幅広に認められます。
つまり、仮に、A株式会社に勤務する坂本部長が、社内で可愛がっている後輩、経理課長Bの秋広を高級クラブに連れて行き散財、その支出をA株式会社が認めて交際費等に計上すれば、その費用は交際費等として認められることになるのです。
ただし、支出する主体は法人でなければならないことに留意してください。
交際費等の定義の亜流、三要件説を堂々と所得税にも適用されると議論する論者も現実に存在していて、1)所得税法第37条の必要経費と2)租税特別措置法第61条の4第6項の交際費等の混同が、「坂本勇人(さかもと はやと)の飲食費用は交際費等に該当する」という議論に繋がっているのです。
いわゆる味噌糞一緒の議論、とても税理士や専門家と呼べない代物ですが、現実にSNSではこのような議論が闊歩しているのです。
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租税特別措置法第61条の4
6 第1項、第3項及び前項に規定する交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為(以下この項において「接待等」)のために支出するもの(次に掲げる費用のいずれかに該当するものを除く。)をいい、第1項に規定する接待飲食費とは、同項の交際費等のうち飲食その他これに類する行為のために要する費用(専ら当該法人の法人税法第2条第15号に規定する役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除く。第2号において「飲食費」という。)であつて、その旨につき財務省令で定めるところにより明らかにされているものをいう。
一 専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用
二 飲食費であつて、その支出する金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額が政令で定める金額以下の費用
三 前2号に掲げる費用のほか政令で定める費用