本当に、のれん(暖簾)と営業権の区別には意味がないのか?(重要事項につき、内容を精査して再掲)

 

 

そもそも、のれん(暖簾)と営業権を区別することに意味がないと考えている論者も実際に大勢いるようです。

 

 

差額概念説で把握されたものは、全部、のれん(暖簾)に入れてしまっても大勢に影響しないと考えているようで、このことが浅薄な営業権(のれん)の議論につながります。

 

 

税理士営業権事件では、「一身専属の高い営業権は譲渡所得に該当しない、斡旋の対価なので雑所得」という国税当局の単純で薄っぺらな議論に全く対応できていません。

 

 

営業権を差額概念説で捉えていて、営業権(のれん)の本質を考えていないからです。

 

 

佐藤信祐は「個別資産及び負債の時価純資産価額の計算において営業権を評価する場合は、「独立した資産として取引される慣習のあるもの」に限定されることから(法法62の8①、法令123の10③)、事業と切り離して売買がされているもののみを営業権として認識することができると考えられる一部の業種を除き、#独立した資産として取引される慣習のある営業権 の存在自体が稀であることから、非適格合併において営業権が認識されることは稀である。」と議論しています(佐藤信佑『組織再編税制大全』(2023年 清文社)494頁)

 

そもそも、「独立した資産として」「取引される慣習のある営業権」(法法62の8①,法令123の10③)の定義もせずに、なぜ、営業権を無視できるのでしょうか?

 

1108頁という大作の中で、営業権が説明されているのはわずか数頁に過ぎす、膨大な数の営業権(のれん)の裁判例、判例を含めて、営業権を全く重視していないことが見て取れます。

 

どうやら、これは会計基準がのれんを中心に制定されたことと深く関係しているようで、会計の取扱いイコール税務の取扱いと考えているのでしょう。

 

それでは、独立した資産として取引される慣習のある営業権(法令123の10③)とは、一体全体、何?ということになってしまいますね(^_^)(^_^)(^_^)