双葉山定次なら簡単に勝てたのか

 

大の里、尊富士といった髷が結えない力士が大活躍している。双葉山定次全盛の頃は、大学相撲の横綱と序二段力士が相対して良い勝負か、序二段力士が勝っていたという記録を読んだことがある。ところが、今は、大学生相撲の横綱は幕内で十分に通用する。

 

 

どうやら、学生横綱の方が強いのではという風評が高まったのは輪島大士が幕下付け出しでデビューして以来、ろくろく稽古もせずに勝ち続けたことにある。

 

 

輪島は一日に数十分のランニングと5、6番の稽古しかしないことで有名だった。それでも十分強かった。

 

 

後の先を取ると好角家に絶賛された双葉山定次の立会いは、相手十分で立ち、しかも、そのまま押し込まれることは全くなかった。

 

 

双葉山の年少からの腰の強さは有名で、年少の頃から家計を助けるために舟人足の仕事で鍛えたものだという。一度も相撲を取ったことがない中学生の頃、優勝賞品の米俵欲しさに、町内の相撲大会に飛び入りで参加した。双葉山は棒立ちで、畳屋の大男に腰から抱きつかれて万事休すかと思われた。

 

 

ところが、双葉山、100kg以上はある畳屋の大男が押しても、引いても全く動かない。剛を煮やした観客から、「押せ、押せ」という声援を聞いた双葉山、何と両腕で相手の背中を押さえつけ、そのまま相手を捻り潰してしまったという。

 

 

双葉山定次なら、大の里、尊富士に簡単に勝ったのだろうか?

 

 

重量力士全盛の今、相撲のあり方が再び根本的に問われていて、本当の意味で強い力士の育成が見直されている。

 

 

そうは言っても、猛稽古で有名だった貴乃花も、実は、ステロイドで体重を増やしていたというギョッとするような情報もあって、何が正しいのかはさっぱり分からない。

 

 

貴乃花部屋の力士が次々に不祥事を起こしたのも、心のケアの問題が指摘されていて、貴乃花の言行不一致が原因とも言われている。

 

昔は良かった、双葉山定次は強かったという思いは、好角家の単なる思い入れでしかないのかもしれない。