インターネット取引と氾濫する情報

-営業権(のれん)のちょっといい話23-

(内容を精査して再掲)

 

これは、『M&Aと営業権(のれん)の税務』(税務研究会出版局 2000年)に掲載したものを、2024年3月に改めて書き直したものです。

 

インターネット取引の飛躍的な拡大により、今までは予想もしなかったような様々な問題が噴出しつつあります。企業にとっては、インターネットによる情報量の飛躍的拡大に伴い、情報の質的管理が非常に難しくなりつあるのです。つまり、インターネットで提供された全世界の情報を検索することにより、欲しい情報が瞬時に把握できる一方で、質の高い情報と質的に劣悪な情報、場合によっては誤った情報が、並列に提供され情報ソースとして、当該企業のデータに混入してしまう可能性が非常に高くなったのです。 

 

 

情報のソースが外国、とりわけ、英語圏以外である場合、情報発者のレベルや社会的地位の確認が容易ではありませんから、「専門家」を名乗るど素人の的外れな発言や論文に結果的に振り回される場合もあるでしょう。


これは企業(組織)だけでなく、個人レベルでも同様のことがいえます。うっかり誤った情報にアクセスすることにより大変な思い違いをしてしまい、思いがけない深刻なトラブルをくこともあるでしょう。場合によっては、逆に、親切なエキスパートによる情報提供により、散々悩んでいた問題が瞬時に解決する場合もあると思います。

 


その昔、私のような機械音痴がインターネットに参加するなど全く考えられませんでした。インターネットにより私の行動範囲は確実に広がりました。趣味等を通じて様々な人との会話を楽しんでいます。それと同時に、税金関係については、誤った情報、危険な情報の氾濫にドキリとさせられることもしばしばです。

 

 

特に、暗号資産(仮想通貨)やNFTの税務のような新しい分野には「これは大変な誤り!」と感じられる「税金の専門家」を名乗る方の、誤った、危険な情報発信も少しずつ確実に増加していています。うっかり誤情報に反応すると、罵詈雑言を浴びせられたり、匿名の誹謗中傷や業務妨害を執拗に受ける原因になったりします。そして、あまりにも酷い誹謗中傷や業務妨害は放っておくのは良くない、毅然とした対応が必要と考えるようになりました。

 


企業レベルにおいても、個人レベルにおいても、インターネット取引を利用することによる情報量の飛躍的拡大と蓄積するべき情報の取捨選択は企業の、そして個人の営業権(のれん)を考える上での鍵になると思います。