赤字企業の営業権(のれん)をどう説明するか

 

赤字企業の営業権(のれん)を超過収益力で説明することはできませんし、差額概念説でも説明できないことは明らかです。

 

人の著作物を丸写ししたり、切り貼りしている税理士には、このような重要な問題は解決できません。

 

超過収益力でも差額概念でも説明できないとすると、法人税基本通達7−1−5の営業機会取得説で説明することになりますが、「法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利を取得するために支出する費用」つまり、1)純粋に法律的な営業権(のれん)や2)法的規制を基礎に置く又は法的規制から派生した営業権(のれん)として説明できるか否かが問題になります。

 

ちなみに、商号権、商標権は「法令の規定」に基づく1)純粋に法律的な営業権(のれん)であり、①織機の登録権利、②織機の登録権利、③許可漁業の出漁権、④タクシー業のいわゆるナンバー権、⑤航路権、⑥砂利の採掘権は「行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利を取得するために支出する費用」、2)法的規制を基礎に置く又は法的規制から派生した営業権(のれん)に該当します。

 

赤字企業の商号権や商標権が高値で売買されることが多々あり、国税不服審判所が裁決で認めた航路権は、いずれも、⑴純粋に法律的な営業権(のれん)又は⑵法的規制を基礎に置く又は法的規制から派生した営業権(のれん)に該当します。

 

商号権、商標権、そして、航路権の移転の場合、独占的条件である法的条件が売手から買手に移転していることは明らかであることから、高瀬荘太郎『暖簾の研究』(森山書店 1930年)が示した4つの独占的条件から営業権(のれん)の生成と成立を考えることが出発点になることは間違いありません。

 

そして、差額概念はもちろんのこと、超過収益として営業権(のれん)を説明することには問題があり、のれん(暖簾)のうち1)純粋に法律的な営業権(のれん)と2)法的規制を基礎に置く又は法的規制から派生した営業権(のれん)をを取り出して考えることには十分意味がありそうです。

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法人税基本通達7-1-5  

織機の登録権利等

 

繊維工業における織機の登録権利、許可漁業の出漁権、タクシー業のいわゆるナンバー権のように法令の規定、行政官庁の指導等による規制に基づく登録、認可、許可、割当て等の権利を取得するために支出する費用は、営業権に該当するものとする。

(注) 例えば当該権利に係る事業を廃止する者に対して残存業者が負担する補償金のように当該権利の維持又は保全のために支出する費用についても、営業権として減価償却をすることができる。