暗号資産とNFTの税務に関するコラム8

暗号資産(仮想通貨)の定義-法定通貨担保型ステーブルコインの取扱い-

 

俄かに注目を集めているステーブルコインのステーブルは「安定した」という意味で、担保などで価格が大きく変動しないようブロックチェーン(分散型台帳)上で設計される決済手段を言います。そして、価値安定の手法により、①法定通貨担保型②暗号資産(仮想通貨)担保型③コモディティー担保型④無担保型の4つに分けられます。

 

このうち米ドルを担保にしたテザー(tether)等法定通貨担保型ステーブルコインは、令和5年6月1日に施行された新資金決済法により、通貨建資産に加えて、電子決済手段(法定通貨担保型ステーブルコイン等)が暗号資産(仮想通貨)の範囲から除外されました。日本経済新聞電子版(令和5年6月3日)によれば、「従来は暗号資産(仮想通貨)の一種と位置づけられてきましたが、日本では仮想通貨とは切り分けて法律を整備しました。この結果、ステーブルコインの発行者は銀行、信託会社、資金移動業者の3つに限定されることになり」、国内での発行が計画されています。

 

日本の租税法の暗号資産(仮想通貨)の定義を資金決済法に依拠していることから、当然ながら電子決済手段(法定通貨担保型ステーブルコイン等)も租税法上の暗号資産(仮想通貨)の範囲から除かれることになります。そして、資金決済法上の改正は、必ずしも租税法上の取扱いを考慮したものではないことは明らかです。

 

また、いわゆるトークン、ペイメントトークンと呼ばれる典型的な暗号資産(仮想通貨)から除外されるものとしては、有価証券(電子記録移転権利・集団投資スキーム持分)やユーティリティトークンと呼ばれるアートNFTがあります。

 

さらに、暗号資産(仮想通貨)とアートNFTの区分は改めて問題視されていて、金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係)」(16 暗号資産交換業者関係)の一部改正(案)の公表について」(令和4年12月16日)によれば、改正暗号資産ガイドラインⅠ-1-1①に(注)が追加されていて、暗号資産(仮想通貨)の定義である「代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができる」を満たさない場合やその例外等が具体的な数値(発行上限100万個以下又は最小取引単価を1,000円以上に設定)と一緒に提示されています。

 

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