白血病で闘病中の知人から嬉しい知らせがありました。
ベスポンサという新しい分子標的薬がついに使えるようになり、早速治療に投入されるそうです。
長く闘病している方なのですが、昨年ついに後がなくなり、高い治療効果が期待される治験にエントリーするも、最後の最後で対象外となって進退窮まっていたと聞いたのが先月のことでした。
ベスポンサは8割以上の寛解率という高い治療効果が期待できる上、再移植に持ち込むことにより完治を目指せる夢の新薬だそうです。
治験からはずれついに手が尽きたと思ったところでの大逆転、本当に嬉しいです。
治療がうまくいき早く元気になってほしいと願っています。

がん関連の治療の開発スピードはめざましいものがあります。
目が回るほどのスピードで新しい治療が現れ、次々と使えるようになってきています。
以前「『モノ言う株主がん患者』を目指して」でも書きましたが、これだけ沢山の研究者や会社があの手この手で開発しているのだから、自分が生きている間に一つや二つはヒットして生き残れる可能性だって低くはないと思っています。
最近話題の小林教授の光免疫療法、メガファーマが続々参戦している腫瘍溶解ウイルス、専門誌nature oncologyで昨年最も大きな前進であると評されたCAR-T療法のような遺伝子治療、ついに4月から我が国でも実装され始めたゲノム医療、目覚ましい成果を上げているキナーゼ阻害剤などの治療効果の高い分子標的薬などなど、これまでにない勢いで新しい治療が出てきています。
先日シャイアーを武田薬品が買収しようとしているというニュースが流れましたが、世界的にも膨大なマネーがライフサイエンス分野に流入しています。
高額で効果の高い新薬が次々開発され市場に投入される流れはこれからも続き、ますます加速していくと考えられます。

冗談でも気休めでもなく、一日でも長く生きのびれば新治療に間に合うかもしれません。
劇的な寛解や長期生存も夢ではないかもしれないのです。

経緯をまとめるために昨年10月1日から毎日つけている記録ノートを読み返して思い出しました。
治療が始まってからのこと、GC療法で手術に持ち込める確率はどのくらいか、と主治医に聞いたところ言いにくそうに「半々くらい」と言われました。
もし手術に持ち込めなかった場合はどうなるのか、抗がん剤による延命治療になるのか、と不安で居ても立ってもいられなくなりました。
そんな私に前述のような新治療を家族が沢山調べてきてくれました。
沢山の新治療がすさまじいスピードで登場する時代が始まった今、「延命治療」という言葉の意味が大きく変わったとしか思えない、と言われました。
完治を目指せない段階からの化学療法はただの延命治療ではなく、QOLを保ちながら一日でも長く生きのびて、ある日いきなり特効薬が登場して寛解してしまうことを待つための治療になりつつあるのではないでしょうか。
悪性リンパ腫ではすでに特効薬が登場し、大きな治療成果を上げています。
白血病も新しい治療法で大きく治療成績が向上することが期待されています。
血液のがんから始まった沢山の治療法が固形がん用に改良されたり、固形がん専用の新しい治療法が続々出てくる流れは今後も加速してゆきます。

がんでは死なない時代がもうそこまで来ているのかもしれません。
今あきらめてしまってはもったいない。
既存療法や治験やその他使える手を全て使って、その時代に間に合うために頑張りましょう!