夜中ですが…
(小さな声で)こんばんはぁ~
やっと、やっと2月22日が終わりました。
特別に嫌いな日ではない。
むしろ、毎年嬉しかった日だったはずなのに、今年は早く過ぎてほしかった。
16年前の2月22日
ジンはわが家へやって来た。
膝の上に乗ってしまうくらい、小さな箱に入ってきた。
あのときのジンの重さは忘れない。
16年なんて、長いけど過ぎてしまうと
ろうそくの火を消すのと同じくらいにあっという間だ。

今年になって、後ろ足が思うように動かないようになり
ゆっくりと
そう、ゆっくりと
その日を待ってるかのようだった。
16年、一緒にいてくれた家族
手を触られることが苦手で、お散歩のあとにいつも苦労していた。
今はお散歩なんていけないけど、
手も拭いても嫌がらないけど
それでもジンは、ペロってしてくれる。
家族が何を望んでいるのかを、知ってるから頑張ってるんだ。
頑張ると、みんなが笑顔になってくれることをちゃんと知ってる。
病院に行くことがいいのか
それともこのまま、その時を待つことがいいのか
「ジンを病院に連れていこうよ!」
生まれたときからお世話になってる先生
このまま会わせることもなく…でいいのか?
先生だってジンのことが気になってるはずだよね。
そう思って、連れていった。
【腎不全の末期】
腎臓か…そういえば丈夫じゃなかった。
点滴を打った。
いつも暴れるから、口を塞がれたのに
今は、なにもしなくても大丈夫。
「あれ?ジンくん、おじぃちゃんになっちゃったの~?」
先生の奥さんから言われた。
ジン!
いいのか?
ちょっぴり クワッて顔をしてみせた。
「あはは、まだそんな顔するんだ。じゃぁ、大丈夫!」
そして2月22日は終わった。
なんだか、ホッとしたあたしがいた。
明日も点滴にいこう!
ジンの病院費くらいは、ちゃんと稼げるようになったんだよ。
大丈夫っ
任せとけ!
なにもやれずにその時を待つんだと思っていたけど、少しはジンのことを楽にしてあげることができるね。
それがいいことなのか、わからないけど…まだそばにいたいんだ

