改札を抜けて、地上に上がる階段の前。
20代の男の子が1人立つ。
少しずつ、顔がほころぶ。
アタシの後ろから、足音が聞こえてきた。徐々に大きくなる足音に合わせて、彼の笑顔も増してくる。
「ごめーん」
アタシの横を追い越した、やはり20代の女の子。
迷わず、彼の目の前に走る。
あっー、そのままだとぶつかるよぉ。
心の中で心配したけど、そんなのは要らんことだった。
そのまま彼の顔めがけて笑顔で突入!
抱きしめてくれる。
いいなぁー。若いなぁ。
2人だけの世界だ!何もみえないみたい(笑)
仲良く、ね。いつまでも…なーんて、振り返ったアタシのことも、あの2人にはみえてないんだろーな。
アタシは、雨の中を歩きだす。

