この著者の別の作品「寝煙草の危険」を以前読んでとても惹かれ、他の作品もぜひ、と探して即購入していた積読本です。このパターンの未読本がもう・・山のようですw
ぜひ読みたい、読む!とりあえずゲット、で一安心して 読まないww うず高い未読本の山・・😓
それはどうでもいいのでw 本のご紹介を。
作者はアルゼンチン出身、文学界のロックスター、またホラーのプリンセスと呼ばれます。ゴシックホラー的な12編の短編集です。内容を少しだけご紹介。
「汚い子」
路上に母親と暮らす小さな男の子。痩せこけている母親は妊娠しているらしい。黒いゴミ袋に所有物をいれて古いマットレスの上で暮らす。語り手はこの男の子と関わるようになるが、ある日親子とも姿を消してしまう・・・
「黒い水の下」
その区域の川はほとんど流れない。投棄される有害廃棄物や油やあらゆるゴミを浮かべる死の川だ。ある時ふたりの15歳の少年が、疑惑があるとして酔った警官から殴られ挙句にその川に突き落された。それから・・・・。
表題作の「わたしたちが火の中で失くしたもの」では女たちが自分に火をつける。本文より。
「燃やすのは男たちがするんだよ。いつもわたしたちを燃やした。今は、わたしたちは自分を燃やしてやる。でも死ぬつもりはない、わたしたちの傷口をみせびらかしてやるの」
いわゆるホラーとは少し違うかもしれません。絵空事で脅してくる怖さではなく、社会性を訴えてくる、リアルな力を持ったホラー。前作で著者が「私たちの現実がすでにホラー要素満載」と言っていたのを思い出します。アルゼンチンの人々の過酷な生活。(アルゼンチンに限りません、きょうまた、せっかく停戦を祈っていたあの地区で恐ろしい殺戮がありました
)
邦訳はまだ短編集2作だけのようですがすでに主要著作8作、最新作は700ページの長編ということで、ぜひ早く翻訳出版してほしいところです。
