1940~50年代のイタリアの話。
大戦後も困窮生活が続く家庭の子供たちを「幸せの列車」に乗せ、比較的裕福な北方の家庭に受け入れてもらうという制度ができた。
母親と二人暮らしだった主人公は、7才の時この列車に乗せられる。仲間も一緒だとはいえ、生まれて初めて母と離れ、不安と寂しさしかない。
迎えられた家族。やさしい人々に囲まれ、全く知らなかった豊かな世界がそこにはあった。越冬の一年ほどを過ごしてから故郷にもどる主人公。
しかし、あれほど恋しかった母のもとに戻れたのに、何かしら空しさを感じてしまう。夢のようにうれしかったプレゼントのバイオリンも取り上げられて・・・。彼はついに、ある事を決心する。
そして最終章は、年月が過ぎ中年をとっくに過ぎたかつての少年。母の死の連絡を受けて故郷に戻る。空路で。もう列車には乗りたくなくて。
というお話です。イタリアで実際に約7万人の子供たちがこの制度によって親元を離れ暮らしたそうです。
貧しくても日々仲間と共に元気な子供達。それでも戦争の影は避けようもなく彼等にも迫っていきます。ナポリが舞台になっていますが、あの美しい街が、主要都市で港もあったせいで激しく爆撃を受けたようです。
どこであろうと戦争は最低な暴力行為ですが、何もわからない子供達の苦難を思うと特にやるせない気持ちです。
(ガザ地区の子供達が特殊爆弾によって多数手足を失っている、というニュースも見ました
)
この作品はでも、ラストは切ないながらも心癒される物語になっていますので、機会があればぜひ読んでいただければと思います。ユーリはほぼ全編ウルウル状態、時に号泣で読みましたww
映画化されて今Netflixでも見れます。こちらはちょっぴり脚色されて、主人公が中年のラストがオープニングになっています。映画も好評のようですが、小説はやはり細かな心の疼きなど丹念に丁寧に文字で読ませてくれるので、個人的には感動の度合いが違うかなとは思いました。
