この小説は2か月ほども前に読んで非常におもしろく、ブログ記事を書こうとしたのですが、アウシュビッツ題材の本でもあり、思うことが多すぎて書きあぐねていましたw
時節でもあり、とにかくメモは残しておきたいと思います。
重要な登場人物。
まずトムゼン。人妻に恋をして悩む。ヒトラーの信頼を得た叔父を持ち、ある意味好き放題に生きている。
トムゼンの片恋の相手、人妻ハンナ・ドルの夫は、強制収容所所長のパウル・ドル。完全なる俗物(として描かれていると思う)。日々の仕事・・・運ばれてくるユダヤ人達の「処理」に悪戦苦闘、上からの叱責に怯える日々。
妻ハンナ・ドル。かつて18才のときに激しい恋に落ち、34才の共産党活動家と同棲を始めたが、やがてふられた。彼女がなぜドルとの結婚を承諾したのか謎。彼女はその後もずっと別れた彼の行方を求め続ける。
登場は少ないけれど強烈に心に焼き付いてしまうユダヤ人のシュルム。「何かと能力が高い」と所長ドルに買われて、他の収容者より生きながらえている。殺害された同胞の遺体処理(例の恐ろしい行為等)。あるいは、大量銃殺後にその処刑人数把握に悩むドルに(頭蓋骨破裂で数えられない)太ももの数を教えて2で割ればいいと進言する等。
シュルムの命もやがて奪われるが、それは本当に、最低な人間の最低な行為によってだった。それでも彼は・・・・
「そして、それゆえに、わたしのすべてが死ぬことはありません。」ー本文より
実は重要な登場人物はとても多いです。トムゼンの親友。
収容所の看守たち。被収容者たち。所長ドル邸の家政婦。
イギリス人捕虜。親衛隊下士官の未亡人。あるいは、ハンナが愛した活動家クリューガー。もっとたくさんの人々のことが時おり描かれてはまた場面は移り、その誰もが凄まじい生を生きていきます。
この作品は映画化されて高評価のようです。ただ、予告編を見てみましたが多分映画は原作とはたいぶ違うのではないかと思います。映画もそのうち、元気な時にw見たいと思っていますが、この原作小説はぜひお薦めしたい秀作です。この作者の他の作品も読んでみたいです。
実はユーリはこの作品をなんと恋愛小説として読みましたw
トムゼンのハンナへの、そしてハンナの初恋の相手クリューガーへの。
変な言い方かもしれませんが、ある意味ユーモアすら感じさせる小説です。いや、収容所の様子、ユダヤ人たちの凄まじい受難もしっかり描かれており、時として読み難いのですが。
少なくとも、直接的な鋭い告発の書というより、これはやはり優れて読ませる小説だと思います。
以前「不快な夕暮れ」という、キモいほどに悲劇的な作品を読んだ時をちょっと思い出しました。あの時も、残酷な物語なのになぜか、何か人間っぽいユーモラスなものを感じてしまったのでした。人間って、空恐ろしく複雑な生き物なんですよね、多分ww
またまた長くなってしまいましたが、この後 蛇足ww
ヒトラーがそこまでユダヤ人を憎み排斥しようとしたわけがわからず、あとそんな殺人狂を英雄と仰いだドイツ人の意識がナゾw
なのでいろいろ読んでみました。以前から興味のあったヒトラー自身による「我が闘争」(長いのでユダヤ人記載のある上巻のみ)もそのひとつ。これは彼が初期の反政府活動で逮捕され収監中に口述筆記されたもの。ユダヤ人がいかに悪人でずる賢いかが果てしなく述べられています。結局、恐れたのでしょうね、社会的に着々と成功を納めていくこの民族に対して。
さてドイツ国民の歓喜は??これはびっくりしたのですが、ヒトラーは就任後すごい経済政策に成功してるのですね、詳細は省きますが、国民は収入アップ、結婚や子供誕生で多額の補助金奨励金、「関心領域」にもあとひとり子供を産めば表彰だ!と、11人目だったかの妊娠に励む話がありましたw
ドイツはワイマール憲法の国でもあります。女性参政権もドイツが世界最初。けっして愚かな民ではないです、それなのに、ヒトラーが見せつけてくれた豊かさと強さに圧倒されてしまったのでしょうか。
それと、アウシュビッツが特に異常な事と語られる気がしますが、当時は世界中で戦争を繰り返していた時期で(今もですが)そもそも殺人が自分たちの豊かさへ繋がる~という異常なことに、ほぼ誰も意義を唱えなかった、できなかったという事でしょうか。
人の自由を奪う、傷つける、ましてや命を奪うなど、それは悪だということは子供でもわかりそうなものですが
それとも私たちはもう一度、特に子供たち、絶対に暴力はいけない、人を傷つけてはならないということをしっかり学んでいくべきだと思うのです。
・・・・突然の暴力、攻撃を受けたらどうするかというのはまた別の話w 個人なら犯罪行為として訴えますが、もしも他国から暴力行為を受けたらどうすればいいのでしょうね
日本に他国からの侵攻は今後絶対無いのでしょうかwww