主人公14才のジャック。母を亡くし、大学教授の父親とふたり暮らし。友達はいなくて、ギリシャ神話などの古典を読み、翻訳に励むという日々を送っているw
そんなジャックがあるひょんなことでグランドセントラル駅
へ、そしてそこのささやきの回廊(リアルに存在する不思議スポットらしいですね、オイスターバーのすぐ近くらしい)でジョン・ダンの詩をささやいてみた。
”さあ行け 流れ星をつかまえろ・・・”
すると本当に見えないところから少女の声で続きが聞こえた。
”君が不思議なものを見るために
見えないものを見るために 生まれてきたなら
一万の昼と夜 馬を駆っていけ・・・・”
そうして出会った謎の少女ユーリと共に、夜のニューヨークで大冒険が始まります!
ぶっちゃけ、YA向けの幽霊話です。でもなかなかにおもしろかったです。ラストはニューヨークの街のシーンなのですが、何というか、世界中に街があって通りを人々が行き交う、自分もそうやって歩いてる幸せ、つまりは生きている幸せ、をひしと感じてウルウルでした
エドガー賞の最優秀ジュヴナイル賞を受賞しています。
ところでこの作品は2008年初版、新作でもないのに読んだのは訳があって。
この著者の新作「The Lost Year」が本年度の全米図書賞YA部門ファイナリストになっています。” Holodomor”ホロドモールの話らしいのですが、初耳だったので検索しました。
(もしご存知ない方は、以下キツい話になりますのでご注意)
語義は「飢饉による殺害、絶滅」とあります。1932年頃に飢えによってソ連邦やウクライナで数百万の、一説には一千万人以上が亡くなったのですが、「殺害」の意味も込められたのはそれが圧政の為だったからです。強圧な政府(政府とは呼べない犯罪集団と思いますが)による収穫の厳しい徴収。ノルマを達成できないと処罰。監視員がついて落穂拾いさえも罰せられる。ノルマどころか全土が飢餓状態になって死屍累々の状態になっていったそうです
「国家」の政策の名のもとに、ほんとうに酷いことが行われてきました。ホロコースト然り。今は個人的にはガザ地区の人々のことがいちばん胸が痛いです。もちろん戦争なので双方犠牲ですが、ガザ地区のことはほんとうに、これまでも何の救助もなく、ついに今回のようなことになってしまった・・・。
話がそれましたが、このホロドモールを知るために、この本を読んでみようかなと思いました。YA作品なのでそこまでキツいことは書いてないのではと思いつつ。
そして1冊だけ著者の翻訳本が出ていたので、この「ぼくは夜に旅をする」を読んだ次第です。この作品はギリシャ神話をなぞってあって面白いうえに心が温かくなりました。なので、好きな作家さん認定です!
というわけで長くなりましたが、「The Lost Year」も必読書入りです。翻訳でるといいなー
それにしても、平和って遠いなーと
日本もどうなるかわかりませんよね。今の平和を守りたいですね