貧しい環境で育った船乗りの青年マーティンは、ひょんなことからいわゆる上流階級の女性と知り合い、恋に落ちる。

 

 

芸術や学問に全く縁のなかったマーティンは、招かれた家で出会ったルースの美しさと知性に打たれて、自らを変えようと学び始める。図書館に通い文法を学び、数多の書を読破していく。

 

やがて彼は詩や小説を書き始める。

船乗りの仕事から離れて生活は困窮を極めるが、ひたすら学び、書き続ける。そして作品を次々に出版社に送り始めるが・・・。

 

 

100年以上も昔の話です。今よりはるかに貧富の差とそれによる偏見、あるいは偏狭な価値観が支配的だった時代です。

いや、今もあまり変わりないのかもしれませんがww

学歴がある、社会的地位?が高い、芸術や学問に表面的でもいいから触れてきている(その真の価値の理解とかはどうでもよくてW)、そういったことでひとの価値が決まるわけです。

 

ブルジョアのルースも本気でマーティンに恋してしまいます。で、さっさと著作などという道楽?はやめて、父親が用意してくれる稼げる職につけばいいのに、とマーテインに望むのですあせる

 

果たしてふたりは結婚するのか、マーティンの作品は日の目を見るのか。

 

 

 

これはジャック・ロンドンの自伝的要素のある小説だと思います。彼も貧困のなか10才くらいから働いて食い扶持を稼いでいました。船乗り生活も。そして作家としての名声。

それなのに40才という若さで自死とされています。(個人的には死の意図は無くODだったと思っています汗

 

 

この小説の読みどころは、マーテインの凄まじいまでの情熱、新たに知った学問や芸術、特に文学への焦がれるような想い。文字通り寝食を忘れて命がけで打ち込みます。勉強って、本来喜びなんですよね、自分の世界が広がり深まるという。昨今の詰め込み勉強のなんと虚しいことでしょう・・・とふと思ってしまいます汗

 

それとふたりの恋。これがもう、今とは絶対すごく違ってると思います。超純愛です。ふたりは人生の価値観からしてもぜんぜん違うのに激しく惹かれあい求め合う、でも超奥手wこんな純愛小説は久々に読みました。ラストが・・・読みながらとてもとても気になりましたよ・・。

 

 

ジャック・ロンドン、中学くらい?の頃に読んだ「白い牙」や「野生の呼び声」ではトラウマ級に大泣きでしたしあせる

その後読んだ「火を熾す」や「アメリカ残酷物語」などの短編、どれをとっても強烈な印象でした。本作も読みごたえある作品だと思います。