「ファイトクラブ」のチャック・パラニュークの旧作を読みました。何と、覚えがありました。大昔、店頭で立ち読みしたような・・

 

今回の本は2022年1月の新版となっていますが、旧版はかなり昔の出版のはずです。うーむ、やっぱり読む運命の本だったということです😅

 

捻った構成で全47章のその最終章から始まります。主人公の男はハイジャックした飛行機のなかにひとりいて、これまでの事をブラックボックスに残すべく語っていきます。46章、45章・・と現在の第1章までたどります。

 

全乗客もパイロットもすでに脱出させており、男はひとり、やがて飛行機が墜落して死ぬのを待つばかり。その彼が語り残した彼の半生が小説の内容となっています。

 

 

男はとあるカルト宗教のコミューンで生まれ育った。文明とはかけ離れた自給自足の生活。やがて掟により17才で「外の世界」へ出ていく。贅沢で放埓な浮世へ・・・

 

とはいうものの、実は彼が育ったコミューンこそはもっと凄まじい世界だった。性も結婚も全て支配され洗脳される世界。やがてそこで起きた事は・・・

 

 

 

この著者から感じるのはやはり現代社会への痛烈な批判です。(やはり、というのは他の作品でも感じたので)

正統派の社会派小説では全然ありませんが、エグい言葉で饒舌に語られるエグい出来事が、意外に本質をとらえているなーと何度も思いました。

 

それと、取りようによっては恋愛小説と言えなくもない。

実はこの小説、ラスト、つまり主人公の運命は曖昧で、読者の判断に委ねられる形になっています。(作者にははっきりしたビジョンがある、と解説にあったので、おお!とばかりにホームページに飛んだところ、なんと既にタイムアウトで読めませんでしたが汗

主人公は「僕が学んだことは一つだけ、愛する者は必ず死ぬという現実だ」と言っていましたが、それでも、ユーリはラストから肯定的な力を感じました。

 

 

 

というわけで本作も結構好きな作品です。

が、他の作品同様、お勧めはけっしてしませんので。読むとあなたの品性が下がる可能性が無きにしも非ず、な文章のオンパレードですので叫び

 

でも面白かった・・ので他の作品も・・😓 ヤバいですあせる