タイトルが「音の創作」。この音とは、映画などで使われる効果音のことです。主人公ミッツィは並外れた音響技師。
彼女の創り出す「絶叫」は、そのあり得ないほどの凄まじさをハリウッドで高く評価されている。
が、彼女はどうやってその迫真の叫びを録音しているか・・・
もうひとりのキーパーソン、幼いころ行方不明になった娘を探し続けて裏社会をさまよう父親フォスター。
やがて二人の接点が・・・・。トリッキーなところもあり非常におもしろく読みました。
作中に説明される「ウイルヘルムの叫び」、1950年代の古典的な効果音声が複数あって、組み合わせて「スターウォーズ」などの人気作品に使われたそうです。wikiに短い音声サンプルがありますが、ミッツィの生み出す絶叫はこの何万倍も恐ろしいのだろう・・と思いながら聞きました
さらには、大脳辺縁系共鳴 というのが出てきます。どこかの犬が吠えると、辺りの犬達が反応して遠吠えの連鎖になる、というものです。
人が、耐えられないほど恐ろしい絶叫を聞いたとき、自らも恐怖のうちに叫ぶ、そしてそれが群集のなかで起きたとき、
この共鳴が何を引き起こすか・・・
はっきり言ってかなりの残虐系の話なので、あまりお勧めとも言いにくいのですが、個人的には優れた作品だと思います。この世界の真実の一面が巧みな構成で描かれていると思います。翻訳が池田真紀子氏。この方は知らない本を「翻訳者買い」するほど信頼している大好きな翻訳家です。
著者はかつて「ファイトクラブ」が大ヒットしました。
映画化されたブラピとエドワード・ノートンの作品を見られた方は多いのでは。
ユーリも見ましたが、大嫌いな暴力シーンに辟易でした。が、作品としてはおもしろかったです。今、原作小説をぜひ読んでみようと思っています