「第五の季節」「オベリスクの門」に続く3部作の完結編「輝石の空」を読みました。いや~これは 最高の、とまでは言えませんが、個人的にはまさに最強の物語でした目

 

サブタイトルに<破壊された地球>とあるとおり、数百年ごとに天変地異が起きて人類の存続も危ぶまれるほどの過酷な状態になる世界。人々は必死の工夫を重ねながら生き延びていく。

 

この世界にはオロジェンと呼ばれる特殊能力者がいる。地殻のエネルギーを知覚しコントロールする。これは生来の能力であり、非常に危険でもあるので、その能力を持つとわかった子供は殺されることすらある。または、施設で何年も厳しい訓練を受け、その後も一生管理される。

 

主人公はオロジェンの女性。そしてその娘。第1巻で消えた娘をずっと探し続け、この最終巻ではついに会えるが、それぞれに恐ろしい運命をかいくぐりながら生きてきて、娘には母への恨みしかない。一方で母の娘への愛情。自分はどうなっても、娘は生きてほしい・・・

 

このふたりの親子に限らず、色々な人々(もしくは人もどきの存在w)の関係性が描かれます。生き延びるのが困難な状況での、それぞれの思いや行動。スティルと呼ばれる普通の人々は、特殊能力のオロジェン達をロガと呼んで蔑む。

 

生存を脅かす天変地異はなぜ起こるのか。

空に浮かぶ巨大な宝石のオベリスクは何なのか。

また「石喰い」という、地中を移動できる人モドキの正体は。

 

そもそも第1巻からほんとうに謎だらけで、主人公が誰でテーマは何なのか、そのあたりも分からないままに、それでも惹きつけられて読む手の止まらないという物語でしたが。

 

最終巻でようやく謎は明かされ、満足のラストは本当に感動でした。

 

そして今思う事は、やっぱり、今いるこの世界も何とも不思議さと危険に満ちたファンタジーな世界だということ。

 

地球は実際に地震や噴火や干ばつや洪水、あるいは(太陽からの)電磁波異常や隕石や・・・・現在の大地も昔とは大きく様変わりしつつ、時に多くの犠牲者を生みつつ、人類は生きているわけです。富士山が吹き飛んだり地元宮崎が水面下になることが全くないとは言えない。縁起でもない話ですがあせる

 

未知の自然は置いておくとして、我々人間たち。この作品でロガとして差別される人々のように、生きる安全さえも損なわれる差別が、いま現在も沢山あります。この小説中では、ロガ達と一般人が共に生きる集団も生まれてきて、わずかながら希望を感じることが出来ました。

 

かなりの大作なので気軽におすすめとはいかないですが、この小説はある意味人類の宝になりうるかもしれない、とそこまで思いました。うまく理由を言えませんがww個人的には特別な作品となりました。 かつてやはり長編SFの「三体」という小説を夢中になって読みましたが、この作品は全く違う声?を持っていると思います。もしか、作者のジェミシンが現代アメリカ社会に生きる黒人女性だという事もちょっと関係あるのかも。

 

 

この世界は厖大で美しいけれど計り知れない危険と残酷さを持つ。いっぽう人はちっぽけだけれど神秘に満ちて時に凄い力を発揮する。

生きていく私たち。

とりあえず、今現在ののんびりな日常がとても有り難いですww