窪美澄さん、大好きな作家さんです。過去にも候補に挙がっていて今回3回目でついに受賞!おめでとうございます!!
5篇の短篇集です。いずれも、心傷つきながらも頑張って生きていく人々が登場人物です。
離婚、死別、コロナ禍での生活、大人も子供もそれぞれに困難を抱える。
それでもちょっとした言葉、ふれ合い、少し深く相手を思いやることで、生きる喜びはまだ訪れる。
5篇のどれも心を優しくしてくれる物語ですが、特に好きだったのはラストに置かれた「星の随(まにま)に」
両親の離婚で小2から新しい若い母さんと暮らし始めてもう2年の僕。生まれた弟もかわいくて大好きだ。でも母さんをつい名前で呼んでしまう、慌てて母さん、と言い直すが。
その母さんはいつもとても疲れている。赤ん坊のせいで寝るのもままならない。でも頑張って、塾に通う自分にお弁当を作ってくれていたがそれもやがて・・・。疲れ果てているのだ。
僕は本当のお母さんにたくさん会いたい。一緒に暮らしたい。
コロナ禍で仕事も行き詰った父さん。みんなつらい、我慢して生きている。
この物語はキーパーソンがいて、同じマンションに暮らすおばあさん。親しくなって部屋を訪れる。たくさんの絵を描いている。戦時中、焼夷弾で焼けている夜の東京の街とか。そこで両親も妹もみんな亡くしたおばあさん。
「叶わない未来かもしれない。その未来が来なくても大丈夫なように、僕はもっと強くなりたかった。生きていればいいこともあるから」おばあさんにそう言われたから。この話はラスト号泣でしたww
この短篇集は今年の5月出版なのですが、ひとつだけ、あれ?これは既読?というのがあって「銀色紙のアンタレス」、初出は2015年の「オール読物」となっていました。どうやら昔、書店で雑誌を手に取って、窪美澄さんだ!とそこだけ立ち読みしたらしいですwww
全作品読んだわけではありませんが、いくつかはアメブロ記事も書きました。かなり前ですが。一番好きな作品は「晴天の迷いクジラ」 これは本当にお薦め。ストーリーはもちろんですが、始まりの所の文章が!今でも空気を思い出せるくらい素晴らしい文章で、まるで古井由吉氏のようだ♡と思ったのです(もちろん独断と偏見)
この「晴天の迷いクジラ」以来、新刊が出るたびに読んでいたのですが、いつの間にか次第にメインはSF小説へとwww
今回素晴らしかったので、他作品も全部目を通そうと思います!
ところで。こちらの美しい女性↓ タレントさんのような?
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元AV女優さんだそうです。で、今回の芥川賞の最終候補のおひとりです。惜しくも受賞はなりませんでしたが、鈴木涼美さん「ギフテッド」デビュー小説です。(他にノンフィクション出版あり)
経歴に興味を持ちました。
慶応義塾大学卒後、東京大学大学院で修士号。その修士論文が「AV女優の業務と自由意志の成立過程」。女優業はフィールドワークみたいな感じで?でも4年間で80本ほどに出演というのはけっこう本格的(Wikiより) 東大卒業後は日経新聞社に勤務。
どんな小説作品なのか、こちらもちょっと読んでみたいです。