16才のビンディは、大学入学のために故郷を離れようとしているところだ。
ヒンバ族の出身。21本の編み込まれたドレッドヘア。赤褐色の肌には粘土に色々なものを混ぜたオティーゼと呼ばれるものを塗っている、一見アフリカ系少女。
が、ビンディが向かうのは銀河の彼方にある超名門校、ウウムザ大学。地球から飛び立つ宇宙船は、巨大エビのような生体宇宙船だ。
乗客の中でヒンバ族はビンディただ一人。同じ地球人のクーシュ族が大勢乗っていたが、長年の敵であるクラゲ型異星人のメデュース達が船内で突然攻撃を始めて、乗客はほぼ皆殺しとなる。
ビンティもクラゲの触手?で刺されて瀕死の状態に・・・・。
という、これはスペースオペラSFということになるのかな。
もう、始めからラストまで、素晴らしく面白かった!!
ビンティ、16才にして「調和師師範」で、全く異なる存在同士のその差異を交渉によってまとめる、という運命を持つ。
そう、これがひとつのポイント。「調和」の困難。地球人と他の宇宙生命体。同じ地球人同士であっても争いは絶えない。
それどころか、同じ故郷のヒンバ族の中でも、たとえば古くからのしきたりを破って大学進学するビンティをまわりは白い目で見る。
(女性は結婚して家庭を守るべきwwSFの世界でもそれ?
)
親兄弟からも反対されても、ビンティは旅立ったわけですが。果たしてその運命は?!
ちょっとネタバレしてしまいますがww
主人公の地に大昔、異星人が来ていた。
そこの砂漠の民と交流があって、彼らは差異からくる争いではなく、良きものを得ていた。
黄金色に輝くこの生命体には自我が無く、ひとつの意識を共有している。
この黄金人がたまたま砂漠に落としていったあるもの・・・それをビンティは拾って、意味も分らぬままにずっと保持しているのだった・・
あるいは、宇宙船内の攻撃でメデュ―スに触覚の毒針で刺された後、彼女自身も頭部にニョロニョロとした突起物を持つ身となる
(メドゥーサのあれです)
数学の天才でもあるビンティは、何かあると数理フローを流し心を落ち着ける。あるいは数式をとなえる・・・
まとまりなく書いてきましたが、やがて悲劇が起こり、そしてまさかの・・・・![]()
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驚愕の展開からあとの、ちょっとコーダが長いかな?という感じもありましたが、個人的には大好きな作品でした。映画化されると最高です!
中編として発表された3部を合わせたものとなっています。
その第1部は2016年のヒューゴ―賞とネピュラ賞を授賞。
初読みの作家さんですが、アフリカ系アメリカ人SFファンタジー作家としてN.Kジェミシン(第5の季節!)と並ぶ人気作家ということです。