さよなら、ニルヴァーナ/文藝春秋

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この作家さんは大好きで何冊か読んでいます。今回新作が出たので楽しみに読んでみました  ・・・・・・・・があせる

今回もすばらしくて一気読みだったのですが。 ただ。今回の主人公・・・ずばり少年A。あの神戸の事件の加害者。

主人公というか、メインになる登場人物4人がかわるがわる一人称で語る形式のそのひとり。

被害者は7才の少女に変えて設定されているけれど、これは誰が読んでもあの少年Aの物語です。

読み終わった時思わず「窪先生・・・」ってため息しちゃったです汗

ひとつには、あの凄惨な事件をモデルにしなくてもぜんぜん架空の事件でいいのでは??と思った事。犯行時の回想とか・・貯水塔のシーンとかでてきますし汗遺族の事を思うとちょっとあり得ないww
おまけにちょうど今、例の元少年Aの手記が出版されてかなり注目されてるしwww

もうひとつは、これまでの窪氏の作品は、生きるうえでの暗い面とか重苦しい軋轢とかそういう重苦しい物語を描きながら、さいごはきっとなにかしら「愛」みたいな?生きる力をあたえるような面があったと思うのですが。

今回、最後の最後まで暗いデスwwwwww

だってね、この物語だとあの惨劇は防ぎようがなかった?としか言えないようなあせる

タイトル「さよなら、ニルヴァーナ」、ニルヴァーナは涅槃つまり永遠の平安・静寂とか。それにさよならを告げてるわけですよ・・・・伝説のバンドニルヴァーナのカート・コバーン(自死した)のことも関係あるかもしれない(作中に言及あり)

なんだかほんとに救いのない、暗い深い物語でした。

それでもあえて。お薦めはしたいです。すごい力作だと思います。



4人のメインキャラは、少年A、彼に娘を殺された母親、少年Aにあこがれ崇拝する少女、そして小説家志望だけれど挫折続きの女性。
どの人生も切ない。でもやはり被害者の母親があり得ないほどつらいwwラスト泣です・・・  

物語は小説家志望の女性が夢破れ人生に疲れて、東京をはなれ実家にもどるところから始まり、最終章もこの人の語りで終わります。

「旅を終え、少年Aと少女と、彼が殺した女の子の母親の物語を私は書き始めた」

そうして彼女は小説を完成させるのですが。
最終ページを読むと、ユーリ的にはこの小説の主人公は結局この作家本人かなと。

つまりこの作品全体が彼女の書いた作品だったという・・メタフィクション。

そしてそれは取りも直さず窪氏の作品なので、

さよなら、ニルヴァーナ

この言葉は小説家・窪美澄氏の自分に対する覚悟の言葉・・・安らぎはいらない、小説家として自分の魂をを懸けて人間の有りようをーどんなに悲しくまた恐ろしい世界であってもー描いていく・・として書いたと思いました汗

(本文P191より引用)
・・・でも、そこを見ずにはいられない、という人間が確かにこの世にはいるのだ。私とAのように。



何だか長いばかりでまとまらなくてすみませんが(いつもですネあせる)窪美澄氏の入魂の力作だと思います。こんなのwを書いて,次回作はいったいどんな方向にいくんだろうwと余計な心配をしてしまうほどです汗


あと・・・やっぱり現代って・・なんだか問題ある気がするw 貧しくても古き良き時代とか。
昔は昔でもちろんいっぱい問題あったと思いますが。
例えば、作品中にでてくるんですが・・・おばあちゃんとかドキドキなんだかすっごく大切な、ほんとの存在?という気がしました o(;△;)o