マリアが語り遺したこと (新潮クレスト・ブックス)/コルム トビーン

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キリスト教の聖母マリア・・イエスの生母が自ら語る晩年の物語。

聖母というよりは、息子を無残な磔刑で失っってしまったひとりの母親として描かれています。

幼い時のイエス。成人して次第にふつうの人ではなくなっていく。彼のまわりに多くの人々が集まるようになり、それに呼応するかのように時の権力からは危険人物とみなされ、やがて追われると身となって・・・。

聖書に出てくる奇跡のエピソード。死んで埋葬されていたラザロを蘇らせ(生き返った後のラザロの描写がリアル?でスゴコワイですww)カナの婚礼では大甕の大量の水を瞬時にワインに変える。

そして逮捕。ゴルゴダの丘での処刑。 その前後のマリアwww

わずか130ページほどの中編ですが、小説の力をひしひしと感じさせる文章で、聖書物語としてなにげに知っていた事象がリアルに迫って感じられましたあせる


とりあえず、キリストって実在したんですよね? 処刑とかも史実?? そう思って読むと・・相当に重いキツイ物語でした汗

そもそもこの本を読んだきっかけは、先日ブログ記事でご紹介した「クラウズ」というノンフィクションに描かれた青年(クリスチャン)の、限界を超えるような苦痛のなかでも揺るがない信仰心というものにびっくりで、宗教って、特にキリストって・・どうなんだろうなー・・と思っていたところにこの本を見つけたというワケで。しかも今までハズレの無いw”新潮クレストブック”だったので即買いでした。

この本を読んで、イエスという人(人ですよねw?)とその当時の不穏な様子が、2000年も昔とは思えないほど生身の生きたひとりのヒトとして迫ってきましたあせる すごい力作だと思います。

ただ、マリアはは聖母としてではなくひとりの母親として描かれていますから、クリスチャンの方からすると・・どうなんだろうという気はしました。

そう言う意味ではあくまで小説。
でもほんとにリアルなすごい小説でしたあせる


物語終りのほうの記述。(物語は全編マリアの独白です)

”もうぜんぶ昔の話だ。少年は大人になって家を出て、十字架の上で死んでいく人影になってしまった。息子に起きたできごとが・・{以下略)・・”  ひとりの人間としての、母親としてのマリア。

でもどちらにしても(ってくくり方がひどすぎるとは思いますがwww)聖母でなくてもキリストでなくても、どんな人のどんな人生も奇跡だと思います。
前から思っていたけどこれを読んでますますそう思いましたwww