これも映画化されていま人気の作品ですね。
ストーリーは、作業員をしている若い男祐一が、出会い系サイトで知り合った
やや遊び人の女の子(保険外交員)を殺害し、そのあと同じように携帯サイト
で出会った店員光代と逃避行に及ぶという話。


ものすごくうまい小説で、二人をとりまく多くの登場人物達も、それぞれの
事情をかかえており読み応えありで、上下巻2冊、あっという間でした。
もともと涙腺めちゃゆるいユーリは、途中から泣きっぱなし。これはもう
完璧な純愛小説だと思います。

思ったことは、①セックスと恋愛の関係?と、②ほんとうの愛について。

①について。
たとえば祐一は、初めて行ったファッションヘルスで、そこのお姉さんに
恋してしまうのですが、(私は読んでてこのお姉さん美保が恋の相手で、
深津絵里さんが演じる人かとはじめ思ってしまった)初めて経験して、
のぼせあがってしまった愚かな男ーと切り捨てられない気がして。
無口で武骨で、女性との恋なんて全然エンのない男の人が、サイトを通して
まずセックスでむすばれて、でも心も寄り添っていく・・一概に不潔とか
安易とか言えない気がしてしまった。
作中のコメンテイターが言う、「・・結局こういう男にはこういう女が
つくんですよね、まったく。」というのが常識的見方でしょうけど。
ユーリはそう言ってるごりっぱなコメンテイターよりも「そういう男」や
「そういう女」の方がよほど好きだ。・・・・と、この辺が、私自身、
もっとオトナになれ!とよく言われる所以かもですが・・。


で、②について。
主人公祐一は、なんといっても殺人犯だから、一般には悪人なんだけど
私にとっては純愛の人。ものすごく魂の美しいひと。
それはたとえば、祐一は幼いころ、母親にすてられていて、(祖父母に
育てられる)成長してからこっそり、時々その母親に会いに行くのですが
その時に、今はもう恨んでいない大切な大好きな母親に、お金をせびる
んですよね!!。お金が欲しくてせびるのではありません。
前出の、親しくなったヘルス嬢美保にうちあけることば・・・。

 祐一「欲しゅうもない金、せびるの、つらかぁ」

 美保「じゃあ、せびらんならいいたい。」

 祐一、少し考え込んで、「・・・でもさ、どっちも被害者には
 なれんたい・・。」

わかりますか~この祐一の、深すぎる、せつなすぎる愛!!


同じようなことを、逃避行相手の光代にもするわけです。
愛する人を、(少なすぎる選択肢の中からではあるけれど)なんとか、
必死で守ろうとする祐一の純愛に、とくに最後のあたりの祐一の行動
に、もうもろ胸打たれます。(超涙!)

それにしても祐一役の妻夫木聡さんって、(文庫本のジャケが映画の
写真になってます)ものすごく祐一にイメージピッタリ・・。
この方映画とかドラマとか見たことないので、役者さんとしては
全然しらないんですが、こわいくらい、雰囲気でてる写真です。
 映画も見に行ってみたいような・・どーしようかなーと・・。