ワールカップ真っ只中の日常は、眠気との戦いだ。

 

1日1試合は必ずテレビ観戦し、

感想と採点を速報としてwebチャンネルに送る。

書いたものは、会員制のメールマガジンで、

配信されたりされなかったり……。

雀の涙ほどしかお金にはならないので、仕事とは言えないが、

それでも、W杯に関わっていたくて、

06年のドイツ大会から続けている作業。

 

ロシアの場合、最高に遅い試合は、

日本時間の27:00キックオフなので、観終わるのが朝の5時過ぎ。

そこから原稿をまとめて、脱稿は大体6時半。

送信して床に就くと、おなじみの気狂い犬が

朝のごあいさつ吠えを30分ほど繰り返す。

やっと犬が吠え終わったと思ったら、

集合住宅のご近所さんの家で、

おなじみの「お子様たちの登校前の大騒ぎ」が始まる。

 

やっと眠りに落ちるのは、大抵8時半ぐらい。

そんな昼夜逆転の生活では、7時間睡眠など夢のまた夢。

昼過ぎぐらいにはどうしても目が覚めてしまう。

結局、午後2時ぐらいから仕事を始めることになるので、

お昼寝もままならない……。

 

そんな眠気を吹き飛ばしてくれるのは、

新星たちの煌めきと、中堅選手たちの玄人仕事。

 

フランスの19歳・エムバペの、年齢に似合わぬ洗練された動き。

同じくフランスのグリーズマンは、まさに「今が旬」。

驚嘆すべきスピードと、その中でもブレない、タッチの柔らかさ。

クロアチアのラキティッチは、バルセロナの中盤を支える

その「堅実性から生まれる、度を超えた意外性」を代表でも発揮。

ベルギーのルカクは、「デカい」「強い」「速い」「上手い」に

「柔らかい」「守れる」を加えた怪物。

ブラジルはネイマールばかりじゃないと思わせてくれるのは、

21歳のジェズス。センスの塊で、とにかく「巧くて素速い」。

神戸入りが決まっているスペインのイニエスタは最後のW杯だし、

ウルグアイのスアレスとカヴァーニのツートップは、

「代表チーム」という枠の中では間違いなく最強の攻撃陣だし、

イングランドのケインは「点獲り職人」としてこの数年で最強だし、

スイスのシャキリは「チビ選手」の最高のお手本だし……。

 

本当に、グループリーグのどの試合にも、「見るべき選手」はいる。

もちろん、日本代表にも。

 

今日の時点で日本は、コロンビア、セネガルと戦い、1勝1分け。

この2試合では、コロンビア戦で決勝点を入れた大迫や、

セネガル戦で同点シュートを決めた本田に注目が集まっているが、

気がつけば2試合とも背番号7・柴崎岳に目を奪われていた。

 

 

ハリルホジッチ解任の際、抱いた感想は、

「遅いけど、まぁ、良かった」だった。

いわゆる「職人監督」であるハリルは、W杯の出場権を得た時点で、

「やることはやった」という思いが表に出すぎていた。

そこから先、彼がしていたことは全て、

セルフィッシュで「もっと俺を褒めろ!」な行動。

監督というものは、「自分が見出した選手」を使うことで、

自分の功績の質を高めようとするものだ。

就任期間中のハリルは、様々な選手を試した。

井手口のように、ハリルが見出して結果を出した選手もいるが、

出場権獲得後にハリルが行なった選手選考は、

毎試合、カメレオンのように色の変わるもので、

結果、「ゲームプランの幹となる選手」を固定できず、

香川や本田など、それまで日本代表を幹として支えてきた選手を

排除するだけの人選になり、結果、試合でほとんど勝てなくなった。

 

ハリル更迭を聞いたときに目に浮かんだのは、

「このまま、根幹が定まらない代表チームでは、

 グループリーグは勝ち抜けない」

という、協会のお偉いさん方の思い。

「それならいっそ、グループリーグ敗退を覚悟してでも、

 賭けに出るべきか?」

という思い切りに至ったのだろう。

思慮深さのかけらもない、短絡的な判断ではあるが、

このまま「ハリルのわがまま」に付き合わされて、

つまらない試合を見ることになるよりは良いか、と思った。

 

そんなときに、真っ先に思い浮かんだのは、

柴崎岳という選手だった。

ハリル就任当初こそ呼ばれていた柴崎だったが、

欧州挑戦で体調を崩すなどして、この数年は、

全く代表に姿を見せなかった。

その柴崎が、西野新監督の代表には名を連ねていた。

 

柴崎という選手の強みは、

視野の広さと、判断の瞬発力、正確なキックと、展開力、

縦一本のフィード力。

そうした、前代表では遠藤保仁が持っていた素質を、

欧州での戦いで磨き上げ、レベルアップさせた選手だ。

この見方には諸説あろうかと思うが、

青森学園時代から、大迫以上の「半端ねぇ」センスを見せていた

この選手に、代表の「幹」を託すことを夢見ていた。

そのチャンスが、ハリル解任でやってきたのだと思った。

 

日本のグループリーグ突破がどうなっているかは、

今はわからないが、

少なくとも2試合で柴崎が見せてくれた

「展開力」「ポジショニング」は、日本代表の幹となり、

将来に明るいビジョンをもたらせてくれたことは間違いない。

 

 

さて、ポーランド戦は、地元・春日部で、

10代から一緒にサッカーをやってきた友人と、

熱く盛り上がろうと思います。