ちょっといつもと違う、理屈っぽいお話。

(え?いつも理屈っぽい??)

 

このところ為替市場はドル高基調で、

今日も

「1ドル=114円台後半」

になったとのニュースが出ています。


一方で、最近やっと、

「実質実効為替レートの下落」

についての記事が、

散見されるようになって来ました。

 

以下の記事は会員用じゃないと全文は読めないのですが、逆に読めるところまでで、問題点は把握できるので一読いただければと思います。

 

 

■「円の実力、50年ぶり低水準に接近 円安で成長力高まらず」

  (日経新聞 21.11.17.)

  → https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB220XS0S1A021C2000000/


■「『悪い円安』日本経済にブレーキも」(産経新聞 21.11.4)

  → https://news.yahoo.co.jp/.../2cf03e268ab2b9b154bf2d2a3a7c...


■「日本「ジリ貧」鮮明に、円の“弱さ”が1970年代前半と同等まで低下」

  (ダイアモンドOnLine 21.7.16)

  → https://diamond.jp/articles/-/276922

 

 

この30年の物価の推移を見ると、

日本国内はデフレでほぼ一定。


雑に言えば、

30年前に100円だったモノが、

未だに100円のままです。

 

一方で、インフレが進んできた諸外国では、

たとえば100ドルだったモノが、

140ドルになっています。


本来であれば、この物価の両国間差は、

「円高にする(為替レートで調整する)」

ことで埋める必要があります。

そうでなければ、同じ外国のモノが、

より多くの円を払わなければ買えなくなるので。

 

しかし、「輸出立国」の日本はこれまで、

輸出に有利な「円安を指向」する傾向が強く、

その為替による調整をして来ていません。


結果として何が起こっているかと言えば、

「日本の買う力」が弱くなっている。


同時に海外から見れば、

「日本が安くなっている」

「安いニッポン」

になってしまっているわけです。

 

コロナ前まで

訪日外国人が4,000万人もいましたが、

そりゃ、そうです。


治安が良くて、

モノも食べ物も質が高くて、

世界最高水準のおもてなしがされて、

しかも、めちゃくちゃ安いんだもの。


しかも、この30年で

骨身にデフレ商売が身に染みて、

「安くしないと売れない」

と思い込んでいるもんだから、

すでに安いのにさらにディスカウントしてしまう。


せっかくお金を持ったお客様が来日するんだから、本当は、

「より高く」

売らなきゃ仕方ないのに…。

 

国内だけのことを考えれば、

「物価が上がらない」

のは良いことのように見えます。


しかし一方で、

「外貨を稼ぐ手段(輸出産業)」のために、

自国通貨が安くなるのと合わせ技にして10年も経てば、それは国際的な国力の低下を招きます。

 

そしてそれは確実にそう、なっています。


あまり、政治の議論の俎上にも登らないこの論点。

そろそろ本格的に手を打たないと、

10年後には

取り返しが付かないこととなると思います。


「新しい資本主義」には、

この課題意識は必須、でしょう。