朝一番、メッチャ 寒ッ!と思ったら、昼頃には、とても暖かい陽気に成る。
朝と昼の寒暖差が、15℃ なんて日も有るのが、今時の季節ですよね~。
こう成ると、インキの硬さの選択が難しく成りますよね。
・・・これもね、24時間稼働してる印刷現場ならば、ほぼ一定の室温で
工場内が安定してくれていますから、さほど気にする事も無く、インキの
硬さなんて事に気を使う必要も無いんですが、夜勤とかの無い通常の、
昼間だけ稼働の印刷現場は、大変ですよね。
朝一では、プラスチックのインキヘラが折れてしまうんじゃないか?って
位にカチカチのインキが、昼過ぎにはドロドロのダラダラな、超軟らかい
状態にまで変化してしまったりと、本当に厄介です。
とりあえず基本的な話ですが、軟らかいインキと、硬いインキでは、こりゃ
どっちが良いのか?・・・結論的に言ってしまうと、硬いインキの方が良い
のですわ。「ええッ!インキが硬いと、ベタのツブレとか着肉が悪いよ~」
そうなんですか?それはインキの硬さより、湿し水が多過ぎる事の方に
問題が有る様に思いますが。でもまぁ、インキが硬過ぎる事でトラブルが
発生する事も当然、有りますよね。でもね、インキが軟らか過ぎる場合の
トラブルと比べたら、こりゃね、軟らか過ぎるって場合の方が、より厄介な
トラブルが多いんですわ。
インキの硬さと、湿し水の量ってヤツには、密接な関係が有るんですよ。
昔のモルトン給水ならね、軟らか過ぎる余分なインキをモルトンが吸収
してくれましたから、トラブルには成り辛かったんですが、ゴムローラーの
連続給水機構では、余分なインキがゴムローラーに蓄積してしまうとね、
こりゃ、即、刷り辛く成ってしまうんですわ。
「極限まで湿し水を絞る」って言うのが、オフセット印刷の基本でしたよね。
軟らかいインキと、硬いインキでは、軟らかいインキの方が汚れてしまい
易いので、どうしても湿し水が多目に成ります。多目の湿し水は乾燥不良、
裏移り、乳化、ちり汚れ、ストップ汚れ、異常なドットゲイン等々、様々な
トラブルの原因に成ります。ですから、湿し水側からの目線で言うならば、
インキは硬ければ硬い程、イイって言う事に成るんですわ。
「そりゃ分かるけどさぁ、上質紙を刷るのに硬いインキじゃアカンだろ」
確かにそうですよね。最終的には、刷る紙の表面強度との戦いに成ります。
上質紙や、純白ロールなんて言う、表面の弱い紙に、硬いインキを使ったら、
紙とブランが離れる時に、紙の表面が毟れてしまいます。(ピッキング)
でもね、このピッキングってヤツも、湿し水の量と密接な関係が有るんですわ。
何度も書いてますが、紙の表面は水で濡れると、その強度が著しく落ちてしま
います。つまり湿し水が多いと、紙の表面が弱く成り、毟れ易く成ってしまう。
ピッキングが起き易く、ヒッキーが出易く成ってしまうって事なんですよ。
こうして考えてみると、湿し水の使い方って本当に大切だって分かりますよね。
「湿し水を制する者は、印刷品質を制する」・・・私が、いつも言ってる言葉です。
より良い物を、より楽に刷るためには、「湿し水の使い方を極める!」って言う
のが、オフセット印刷にとって、何よりも重要なんですわ。
むやみにインキを軟らかくしてしまう前に、今一度、湿し水を絞ってみる。
上質紙や純白ロール等、表面の弱い紙は、温度が低い朝一ではなくって、
印刷機の温度が上昇した、午後からの印刷にする等、チョッとした工夫で、
楽に刷る事が可能に成ったりしませんか。
「今まで、ずっと、こうやってやって来たから」と言う、古い固定観念だけに
こだわり続けてしまっていると、いつまで経っても技術が上達しないですよね。
基本から外れた、邪道のような事に挑戦する必要なんて、全く有りませんが、
「湿し水を絞る」って言うのは、オフセット印刷の基本中の基本です。インキを
軟らかくする前に、今一度、湿し水を絞る!って言う、オフセット印刷の極意に、
挑戦してみて下さいな。