何年か前にも書いたんですが・・・。
機械部品のパーツカタログみたいなのを印刷したんですよ。その表紙に、
シルバー(銀色)の、機械部品のアップの写真が、デカデカと有りましてね。
印刷して納めたら、「色が違う!」って、大クレームだったんですわ~。
表紙のシルバーの機械部品の色が、赤過ぎる!って、おっしゃるんです。
それを担当の営業さんが、印刷工場に持って来て、「なんでこんなに赤く
刷っちゃったんですかッ!」って、納めた印刷物と、色見本を印刷機の、
色見台の所で、広げたワケですよ~。
ん??? なんで、これが色調クレームに成るの? このシルバーの色、
ほぼ同じと言うか、バッチリOKなんじゃない?・・・文句を言いに来たはずの
営業さんも、「あれ?本当にバッチリですねぇ。おかしいなぁ・・・」
この時、私は印刷オペレータではなく、管理責任者でしたので冷静な判断で
「多分、照明の問題だと思うよ。ウチの色見台は、全て演色性にコダワって
セッティングしてあるから大丈夫だと思うけど、お客さんの所の照明に問題が
有って、違う色に見えちゃったんじゃないのかなぁ」
・・・ですよねぇ。とか言いながら、色調見本のインクジェットを左手に持って、
右手には、印刷物を持ったまま、視線は、その両方を比較しながら、工場を
出て行こうとしたんです。「ん? んん?? んんん??」ナニ、どうしたの?
色見台の照明から外れた瞬間、印刷物のシルバー部分が、色調見本よりも、
赤く見えたんだそうです。「やっぱり赤いか~」と思いつつ、そのまま少しだけ
暗い場所に入ると、今度は印刷物の方が青く見え、工場から外に出てて、
軒下の、日陰部分で見たら、またまた赤く見えてしまった。
こりゃ、何を信じればイイんですか?・・・いろいろ調べてみたら、この時に
使っていたインクジェットの方に問題があったようです。確かにね、色調って
ヤツは、光源によって、メチャメチャ、見え方が変わってしまいますよね。
同じ色調を、蛍光灯の光で見るか、白熱球の光で見るか、太陽光で見るか
では、全て色が変わります。・・・デジカメに、ホワイトバランスってのが有って、
まぁ、「自動(オート)」にしておけばイイんですが、本当は各光源によって、
ホワイトバランスってのを、変えてやらなきゃ成らないんですわ~。
今回の場合、印刷物よりも、インクジェットの方が、光源の違いによる色の
見え方の変化が大き過ぎて、大変な事に成ってしまったんですが、とにかく、
お客さんがクレームを、おっしゃっておられる訳ですから、私としては、直ぐ
にでも刷り直しをしたいのです。しかし、問題は、どんなシルバーに仕上げ
れば、ご満足頂けるのかが、分からないんですよ。
そこで担当の営業さんに、「インクジェットは、もう無視して今回の印刷物を
基準に考えて、それより赤くしたいのか、青くしたいのか、青くするのならば、
どの程度、青くすればいいのかを相談して来て~。」 と、お願いしました。
そしたら、さすがはベテラン営業マンですよね~、全てをお客さんに話して、
インクジェットを無視し、この印刷物に対しての色指示を頂ければ、すぐに
刷り直しをします!って言ったワケですよ。こりゃね、お客さんも悩みますよ。
インクジェットって言う比較物が有るから、「赤い!」ってクレームに成ったん
ですが、刷り上げられた印刷物だけを見ていると、これより赤くするのが正解
なのか、青くするのが正解なのかが、正直なところ判別が付かないんですわ。
「まぁ、この印刷物だけ見てると、別にこれでイイかって思うんだよね~。まぁ
刷り直しも大変だろうから、このままでヨシとしましょう!」と言う事で一件落着。
刷る方も、判断する方も、この4色重なったシルバー系とか、グレー系とかの
色調では苦労する事が多いです。例えばね、見本と刷り物を並べて比較して、
右側に置いた刷り物の方が、チョッと赤い!と言う判断に成ったとしましょう。
この時にね、そのまま、右と左を入れ替えてみて下さい。
右側の「刷り物」の方が赤いと判断したはずなのに、左右を入れ替えると、
入れ替えて右側に来た、「見本」の方が赤く見えてしまう事が有るんです。
人間の、右目と左目の見え方の差、とか言われてますが、微妙な色調の、
茶色系などでも、この現象はケッコウ起こります。
こんな場合、私は、刷ってる方の物を、問題の絵柄の部分で、ハサミ等で
カットして、見本の絵柄の同じ所に、キッチリと当てがって、比較するように
していました。まぁ、分光光度計でLabで計測比較してやればイイのかも
ですが、人の見た目を納得させるには、数値よりも、カットした現物合わせ
の方が、私としては説得力が有って、楽でした。