印刷技術 技術はスピード | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

学生時代、演劇をやってました。メインは舞台でしたが、テレビやラジオにも、

出演していました。NHK名古屋の劇団所属ですから、NHK専門でしたけど。

 

1本の芝居やドラマには、いろんな役が有るのですが、私は「その他大勢」と

言う役名が大嫌いでした。「通行人A」とか「学生B」とか「町の人C」とか・・・。

そんな誰でもイイような役は、やりたくない。しかし、もしも、通行人Aをやれと

言うのであれば、誰よりも目立つ通行人Aでありたいと、そう思ってました(笑)

 

印刷屋さんも同じです。いわゆる「その他大勢」の印刷屋さんでは生き残って

行けない時代なのだと思います。「まぁ大した印刷物じゃないから、値段が、

安ければイイんで、他所より安くしてくれるんなら、やってよ」~なんて言う物

ばかり集めたって、儲けが出せるのかどうか・・・。

 

でもね、昔からの私の持論に「技術力とは究極的にはスピードである!」って

言うのがあります。超素晴らしい品質の印刷物を仕上げられる技術を持って

いたとしても、1日に1つしか出来ないとしたら、それは「生産」と言う域では

なく、「芸術品製作」のような世界に成ってしまいます。

 

その一つで20万や30万円を越えるような印刷工賃を頂けるのであれば、

それはそれで充分な商売に成るのですが、そうは簡単に行きませんわね。

今時の普通の枚葉印刷機は、例えば千枚通しの仕事を、いかに迅速に、

大量に消化して行けるか。と言う観点を重視して設計されています。

 

例えば、版を付けて、見当・色合わせをして、印刷して、最後にブラン洗浄。

千枚通しの4色刷りで、これを何分で完了出来るか。私の場合は15分です。

ですから、1,000×4/0 なら1時間で4台刷り上げる。ってワケです。

 

先日、他の方のブログを拝見していたら、これを10分で仕上げるって、

おっしゃるんですッ!つまり1時間で、6台の印刷を完了してしまうッ!

これはねぇ、本当に超素晴らしいッ!どう頑張っても私には出来ません。

「技術力とは究極的には『スピード』である!」

 

1時間に4台の私と、1時間に6台を仕上げられる方。こりゃね、技術力に

圧倒的な差が有ります。私が、ありとあらゆる手を使っても絶好調な時で

5台イケるかなぁ~? んでも絶対に6台は無理だよなぁ(汗)って言う、

私にとっては、こりゃ「神ッ!」の領域の世界なのですよ。

 

分かりますか? 1時間に、4台と6台の差。この差のままで8時間、仕事を

したら16台もの差が付いてしまうんですよ。割合で言うなら、私の1.5倍、

つまり、5割増しの仕事を完了させてしまうと言う凄まじさなのです。

 

技術力とはスピードなり!印刷機のメンテも調整も全てが完璧だからこそ、

初めて得る事が可能な、このスピード。本当に素晴らしいッ!この能力が

有れば少々安価な仕事でも、充分に利益を確保する事が出来るのです。

 

印刷業界は、これからもっともっと不景気に成って行く事が予測されます。

そんな中で、自分達の印刷会社を守るのは、現場の技術力、現場の力

なのだって事を、この素晴らしい生産能力が示してくれています。

今こそ、現場の、絶大な力が必要な時なのですよ。