印刷現場の人達ってのは、多くの場合、同業他社の知り合いを持っていない
って事が多いかと思います。例えばこれが、印刷会社の社長だったり、営業
だったりすると、ある程度、他社とのつながりも有り、「ああ、あそこは、こんな
仕事やってるぞ~」なんて言う情報を持っておられたりします。
例えば、印刷物にクレームが付いたとしましょう。・・・最近は厳しいですから、
下請けの仕事だったりすると、即座に「対策書」を提出せよ!なんて話に
成ってしまうかと思います。「クレームの発生状況・原因・今後の改善策」
なんて事を、文章にまとめて提出しなければ成らないワケですよね。
「気を付けてたんだけど見落とした。今後は、もっと充分に気を付ける」
なんて小学生並みの対策では、話に成りません。かと言って、初めて経験
するようなトラブルだと、その原因すら、明確に把握する事が難しい場合も
多々有るんですよね。・・・ならば、どうするか。
こう言う時にね、同業他社さんとの密接な関係が有ると、楽なんですよ。
「こんな事が起こったんだけど、経験有る?」 「あっそれ、ウチは経験が
無いんだけど、知り合いの印刷工場でも同じような事が起きたって話を
聞いたから、そこを紹介してあげるよ~」 なんて感じです。
でも、ほとんどの印刷現場は、他社さんとのつながりが有りませんから、
なかなかこんなに楽には行きません。とは言え、分からないワケですから、
誰かに教わらなくては成らない。そこで、相談する相手として、印刷機の
メーカーさんだとか、インキメーカーさん、エッチ液屋さん、紙屋さん等に
電話で相談したりするワケですが・・・。
印刷機の問題、インキの問題、エッチ液の問題、紙の問題であるならば、
それぞれの専門家さん達に訊けば良いのですが、それが印刷のやり方
とか、印刷工程とかの問題だったりすると、印刷機メーカーさんに訊いても
正確な回答を得る事が難しいですよね。
それじゃ、成田(私)に訊く。モチロン、それもOKです。
んでもね、その現場さんに1度でも行った事が有って、工場の環境とか、
スタッフさん達のレベルとかが分かっていれば、簡単に回答も出来るの
ですが、何も分からない状況だと、ピント外れな回答に成ってしまいます。
相談者さんは、1+1と言う、足し算のレベルで困ってみえるのに、私が
一生懸命に、連立方程式の解説をしてしまっている。なんて事も、よく
有る話なんですわ~。足し算で困ってる人に、連立方程式の話なんて、
こりゃ全く、理解できるワケが無いですもんねぇ。
「ブレイン」とか「ブレーン」っていう言葉が有ります。英語です。直訳すると
「脳」とか「頭脳」と成り、「知的指導者」なんて意味でも使われたりします。
「彼は、非常に良いブレーンを持っている」 などと言う使い方をした場合、
彼にはメッチャ優秀な能力を持った仲間がいる。なんて感じに成りますね。
私も同様です。印刷技術の指導をやってますが、まだまだ知らない事が
イッパイ有ります。でもね私は、沢山の「ブレーン」さん達を持っています。
エッチ液の専門家さん、ローラー・ブランの専門家さん、インキ、印刷機、
用紙、溶剤等々、それぞれの分野のブレーンさん達に助けてもらってます。
同業他社の印刷現場さん達が、それぞれにお互い、ブレーンに成れたら、
この業界は、もっともっと発展していただろうなぁ。と、日本中の印刷現場の
レベル格差を見るたびに、痛感します。印刷現場って所は、様々な機密や
個人情報を扱っていますから、なかなかオープンには出来ないのが実情
なのですが、それでも「純然たる技術向上」と言う目的のためであるならば、
もっと以前から、交流が出来ていても良かったんじゃないかと思うのです。
今現在、自社の技術や、自社の仕事の内容、自社で発生したトラブル、
その解決法、苦労話などを、惜しげもなく、ネットで配信して下さっている
印刷現場の方達がおられます。あの記事を読んで、日本中の印刷仲間が
たくさん救われています。あの記事で、勇気を得た印刷仲間達も、たくさん
存在する事でしょう。印刷会社の一従業員だった私には出来なかった
事です。本当に頭が下がります。
あなた達こそ、この業界、日本全国の印刷現場のブレーンです。