オーバースペック = 過剰性能のこと。
例えば、インターネットを見るだけなら、数万円~十数万円位のパソコンで充分
ですわねぇ。そんなところへ、50万円以上もするパソコンを買ってしまったら、
こりゃ、「オーバースペック じゃ!」 てな事に成りますわね。
我々、庶民が、買い物に使うだけの車ならば、小回りが利いて、維持費も安い、
軽自動車が一番イイかと思います。そう言う使用状況の中でベンツやレクサスや、
ポルシェなんぞを使ったら、こりゃやっぱり、オーバースペックですわね。
そうやって考えてみた場合、例えば金額ベースで言うならですよ、我々が使って
いる、オフセット印刷機械ってヤツは、1台で数千万円~、輪転機なら数億円して
しまうんですよ。我々は一般庶民ではなく、プロの印刷技術者ですから、それ位の
金額のモノを使いこなすのは当たり前! と言ってしまえば、それまでですが・・・。
数億円もする輪転機が、乳化して飛散ったインキの塊りで、ゴテゴテに成って
しまっている光景をよく見ます。まともな知識も無く、間違った使い方や、ろくに
メンテも出来ていない様な状態で、数億円もする輪転機を使っていたとしたら、
こりゃやっぱり、オーバースペックだと言われても仕方がないのだと思うのです。
オーバースペックの、逆の意味の言葉を探すと、「身の丈に合った」 と言う事に
成るのでしょうか。そう言えば今年、この発言をして問題に成った政治家さんが
居ましたよね(笑)。・・・「オーバースペック」と、「身の丈に合った」。
私の道楽の一つであるギター。今年、還暦祝いで、60万円もするギターを買って
しまいました。私の演奏能力からすれば、完全にオーバースペックですわね(笑)。
んでもね、「60万円もするギターを買ったのだから、それに見合うよう、必死に
練習しようッ!」と言う、起爆剤に成るのであれば、あえて、オーバースペックも、
それはそれで、充分にアリだな!って思うんですよ。
人間は「身の丈に合った」と言う枠組みの中では、飛躍的に成長する事が難しく
成ってしまうように思います。最初は、完全なオーバースペックに思えるような物が、
ふと気付いてみると、身の丈ほどの物に変わってしまっている。・・・この時に変化
したのは、「オーバースペックだった物」ではなく、自分自身なんですよね。
我々が、まだ経験の浅い頃に与えられた印刷機。その時のそれは、間違えなく、
オーバースペックな物だった事と思います。年数を重ね、知識が増えて、技量が
向上して来ると、「何人もの先輩が使い果たした、こんな古い印刷機より、もっと
最新式の、新品の印刷機を、オレも使ってみたいなぁ!」と思うように成る。
「身の丈」に甘んじるのではなく、常に「オーバースペック」を求め続ける姿勢の
中にこそ、本当の意味での成長が有るのだと、そう思っています。