●質問
油性の枚葉・両面機を使っています。
通常、7,000 回転で印刷しているのですが、もう少しスピードを上げるよう
言われてしまいました。別に、スピードを上げるのは構わないのですが、
その場合、コート紙だと、裏面にコスレ汚れが出て、クレームに成って
しまうのですが、他社さんでは、どのように対応されているのでしょうか?
●回答
久々の質問、ありがとうございます~ッ!
油性の枚葉両面機って事は、あの2階建て式のヤツですかねぇ?まぁ、
反転胴式のヤツでも、先刷り面(排紙部に出て来る時の下側の面)への、
コスレ汚れは、イヤですよねぇ~。
油性だと、まだ乾いていない下側の面が、デリバリィのシートブレーキ(真空車)等と
接触してコスレ傷を入れてしまいますよね。用紙に余裕があって、ドブ(空白部分)を
充分に取る事が出来る場合はイイんですが、そうじゃないとキツイですよね。
特に、ページ物なんかだとドブは6mmですもんね。その6mm部分へシートブレーキが
ウマく入ればいいんですが、印刷機のスピードを上げると、用紙の咬尻が暴れてしまい
6mmから、はみ出した位置に、コスレ傷が入ってしまう事も、よく有りますよね。
実は、私自身、こうした両面機を使った経験は無いんですが、工場長をやってた時に
2/2 の両面機が有りましてね。このコスレ傷とは、本当によく闘いましたわ~(笑)。
最終的には、2/2 の機械で、片面づつ印刷して、コスレ傷を防いだ事も有りました。
んでも、高価な両面機を買って、片面印刷をしていたんでは、こりゃ宝の持ち腐れ
です。その会社でも、最初は7千回転が限界だと、オペレータが言ってたんですが、
何とか、5百回転でもイイから上げる努力をしてくれ!と、言い続けていました。
そしたらね、最終的には、9千回転で刷れるように成ったんですよ。1万は無理だと
言ってましたが、7千と9千じゃ大違いですわね。「どうやって、やったの??」って
聞いたら、オペレータに「企業秘密です!」って言われちゃいました。・・・オレは、
同じ会社内の工場長なのに、企業秘密ってナニよ~(笑)。
7千だと諦めてしまえば、それが限界。でも、あと5百、あと5百と挑戦を続けて行くと
いろんな事が見えて来るのだそうです。そっか、8千にすると、こう成るのか~、ならば、
ここを、こうすれば、7千5百は絶対に安全かッ!なんつって、工夫を積み重ねて行った
のだそうです。・・・彼は今頃、1万2千くらいで、鼻歌で刷ってるのかな~?
技術って何でもそうですよね。これが限界!だと思えば、絶対にそれ以上には成らない
どころか、その限界すら、ヤバく成ってしまう事も有る。でも、努力して工夫してみると、
「これは、やっちゃアカン」ってのが、いろいろ見えて来て、アカン事を排除してシンプルに
考えてみると、「なんだ~、これでイイんじゃん!」なんて言う、発見が有ったりしてね。
技術者として成長するってのは、そう言う事だと思うんですよ。これが限界、これで充分
って考えてる人に成長は無いですよね。・・・今日は8万枚も刷らなきゃ成らない。これを
7千回転でやったら、12時間!・・・そんなのイヤだ~!何とか早く終われる方法は無い
かなぁ~。今日はパチンコ屋の新台入れ替えだから、早く帰りたいもんな~。
動機なんてね、何でもイイんです。カミさんがウルサイからとか、子供と遊びたいとか、
パチンコやりたい、ビアガーデンに行きたい。・・・だから、スピードを速くしたい。だから
ノントラブルでスムーズに仕事を終えたい。その為には、どうしたら良いのか?それを
必死に成って考える事が、一番大切なんですわ。 頑張って挑戦してみて下さい!