印刷技術 梅雨・紙の波打ち | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

関西地方も、いよいよ梅雨入り宣言ですわ~。

私は、もともと、雨って好きじゃなかったんですが、印刷屋さんに

就職してからは、ますます雨が嫌いに成ってしまいました~。

 

雨の日に外へ出ようとした場合の必需品って、傘かカッパですよね。

特に、この「傘」ってヤツ。藤原佐為(フジワラノサイ・ヒカルの碁)に

よれば、「傘は平安時代から変わっていない」のだとか。

 

こんなにも科学が発達した時代に、こんなにも身近な「傘」ってヤツが、

平安時代から進化していないって、ナニそれッ!って気がしません?

 

木版画しか無かった印刷技法が、今やデジタル印刷の世界ですよ~。

移動手段としての馬が、自動車に代わり、空を飛ぶ飛行機まで出来

上がっていると言うのに、傘は、平安時代のまま?・・・例えばボタン

一つ押せば、バリアーか何かで、雨に濡れずに外を歩けるシステム

なんてのが、そろそろ登場してもイイのではないかと思うのですが。

 

えっと、愚痴はさておき、この梅雨時の高湿度ってヤツ。まず一番に

影響を受けてしまうのが「紙」 ですよね。「紙の波打ち」 なんてので、

紙の束の端面を見ると、本当に波打ったように、グニャグニャに成って

しまったりします。・・・この、波打ちって、なんで起きてしまうのでしょう?

 

例えば、紙を1枚だけ、机の上に放置しておくだけでは、いくら湿度が

高くっても、波打ちは発生しませんよね。500枚とか、1,000枚の束とか、

はたまた、積み上げられた紙の端面にのみ、この波打ちを見る事が

出来ます。

 

ご存知のように、湿度が高ければ(湿気が有れば)紙は伸びます。

でも、この伸びる部分ってのは、高湿度に当たった部分だけなんですわ。

例えば、積み上げられた紙の場合、その端面には、高湿度な空気が

当たって伸びてしまいますが、積み上げられて塊りに成っている、中の

部分にまでは、その湿気が届きませんよね。

 

つ~事は、1枚の紙の中で、伸びてしまう端の部分と、伸びない真ん中の

部分が存在してしまうワケです。1枚の紙なのに、伸びる部分と、伸びない

部分が有る。こりゃもうね、歪むしか手が無いんですよ。その部分的な歪み

が、波打ちとして現れるワケですね。

 

・・・と言う事はです。波打ちを起こさせないためには、この状況を逆手に

取ってやればイイですよね。部分的に高湿度な空気が当たってしまうから

部分的な伸びが発生し、波打ちをしてしまう。ならば、部分的に高湿度な

空気が当たらないよう、例えばビニール袋などを被せてカバーしてやる。

まぁこりゃ、ケッコウ皆さんがやってる方法ですよね。

 

んじゃ、波打ってしまった紙はどうするか。・・・部分的に伸びてしまっている

から波打ちが発生してしまっているんだから、この紙、1枚1枚に対して、

全体的に、同じような湿気を与えるか、もしくは乾燥させてやればイイ。

 

ええっ?どうするの?・・・一番簡単なのは、印刷機を使って、胴を入れずに、

空通ししてやる事です。胴を入れてしまったら、圧縮されてシワが入ってしまう

のでアカンのですが、胴を入れずに通してやれば、1枚づつ給紙で分離されて

排紙までの距離、端から真ん中まで、同じ湿気の空気に1枚づつ当ててやる

事が出来ます。これで、完璧に波打ちが消えるワケでは無いのですが、シワが

出ない程度にまでは、改善できる事が有りますので、波打ちのシワで困ったら、

1度、やってみる価値は有りますよ。

 

例えば、輪転機で刷ったチラシに、枚葉機で、店名を刷り込む。なんて仕事、

この梅雨時は本当にイヤですよね。輪転機のガスバーナーでカリカリに乾燥

させられた紙(チラシ)は、端面が急激に波打ちしてしまいます。こんな時の

シワ対策でも、ケッコウ効果が有ったりしますので、そんな時は、思い出して、

一度、空通しをやってみて下さい。シワが出なけりゃ、いろいろ楽に成ります

もんね。(^^)v