古い印刷機などを使おうとする時、「この機械はクセが有るから使い辛い」
等という言葉を聞く事が有ります。・・・確かにね、調整範囲が狭いとか、
チョッと調整するだけで、メッチャ変化し過ぎる!なんて言う、構造上のクセ
ってのは、こりゃ、存在する事が有りますよね。
んでもね、多くの場合、「使い辛いクセ」を付けてしまっているのは、その機械を
使っている人間なんですよ。人間が個人的に付けてしまっているクセですから、
A君にとっては、使いやすく、B君にとっては、使い辛い!と言う場合も有ります。
例えば、自動車やフォークリフトの、ハンドブレーキ。
私は、軽く引いて、ガッチリ効いてくれるのが好きですから、そのように調整を
してもらいます。が、引く時に、自分の全体重を掛けて、ギャッ!と、思いっ切り
強く引く人がいます。こういう人が、1度でも、そうやってハンドブレーキを引いて
しまうと、もうそれ以降は、ワイヤー等が伸びてしまって、軽いタッチで引いても
全くブレーキが効かなく成ってしまいます。
軽く引いてガッチリ効くのが好きな私にとって、全体重を掛けて引くハンドブレーキ
なんてのは、もう最悪なクセが付いてしまった、非常に使い辛い物ですから、すぐに
でも再調整をしたいのですが、再調整しても、全体重掛けの彼が、1回でも使えば、
こりゃまた、クセが付いてしまいますから、何とも成りません。
同様に、ネジを締める時の力、作動用のボタンを押す時の力など、A君とB君の
力加減の差が有ると、お互いにとって、使い辛いクセに成ってしまうんですね。
コントロールテーブルの、インキ開度を調整するキーの押し方なんて、人それぞれで
見てると、ケッコウおもしろいんですよ。・・・刷り出してみたら、色調が大きく変わった!
このままだと、色ムラに成る~ッ!早く修正せねばッ!なんて時は、特にオモロイです。
両手、10本の指で、インキキーを連打ッ!その光景は、さながらピアニストですわ(笑)。
しかも、f (フォルテ)どころか、f f f (フォルテシッシモ)の、超強烈な連打です~ッ。
こんな強烈な連打を受けてしまったキー、私のように、フェザータッチが好きな人間の
押し方では、もう動いてくれません。私にとっては、非常に使い辛いクセの付いたキー
って事に成ってしまいますよね。・・・クセってね、使ってる人が付けてしまう物なんです。
機械類ってのは、必要以上に強い力を加えてしまうと、元に戻らないダメージを受けて
しまうんですわ。「機械のクセ」ってのは、多くの場合、このダメージの事を指して言って
いるものなんです。「バカヂカラ」って言葉が有ります。過剰な力は「バカ」が行う所作だ
と言う話なのです。
どうか、機械を、優しく丁寧に使ってやって下さい。
そう簡単に買い替えられる時代ではないのですから。