印刷Q&A 画線のシャープさ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

 

画線についてです。

例えば、自分で前回、刷った刷り物と比較して、増刷の今回、刷った物の画線が、

前回よりもシャープに成っており、自分では良いと思ったのですが、前回と違うから

ダメだと、自社の担当部署から言われてしまいました。オペレータとしては、絶対に

シャープな画線の方が良いと思うのですが、どうでしょうか?

普通、シャープな刷り物の方が良いと思いますし、オフセット印刷の画線の変化って、

結構起こりやすいように思うのですが、、。

 

●回答

 

さてさて、どう、お答えさせて頂きましょうか・・・。

 

まず、「画線」と言う表現ですが、ごく普通の、オフセット・カラー印刷のオペレータで

あるならば、「画線」と言う表現で、品質を語る事は、まず無いですよね。シャープと言う

表現をするのは、例えば「網点がシャープだ」とか、「墨文字がシャープ」だと言う表現に

成るのが、一般的だろうと思います。

 

今回の質問者さんは、「画線がシャープ」だと、おっしゃっておられる。と成れば、普通の

カラー印刷とは、異なる分野の印刷をされておられるのかな?例えば、ピンクマスターで

モノクロの冊子(罫線がイッパイ有るようなヤツ)を、専門で刷っておられるとか?

 

まぁ、そうした事は、さておき、品質評価に関して、その現物を私自身の眼で見ない限り、

私が良し悪しを評する事は有りません。要するに、その印刷物を、私が実際に見ていない

ので、どっちがイイとか、これはダメだとか、そうした事は、絶対に言わないって事です。

 

そんな事より何より、私が気に入らないのは、

「オフセット印刷の画線の変化って、結構起こりやすいように思うのですが、、。」

って言うところですわ。品質至上主義の成田に、これ言ったら、そりゃ怒りますわなぁ(笑)。

 

そんなふうに思ってるヤツが、一丁前に「オペレータ」とか、言ってんじゃねぇぞ、コラッ!

100万光年早いッ!(昨日、5500万光年も離れたブラックホールの画像を見たので、つい)

 

画線って、よ~分からんけど、そうした変化を起こさずに、何万枚でも、同じ品質レベルで

刷り上げるのが、プロのオペレータとして、最低限の仕事だろうが。その変化を起こさせない

ために、世の中のオペレータ諸氏が、どれほど精進しとるか、分かっとるか?

 

趣味や道楽で印刷をやってるんなら、「う~ん、今回は、二度と再現出来んような芸術品が

出来たなぁ~」なんつって、自己満足の世界に浸ってればイイんですけどね。我々、プロの

印刷技術者は、お客様の意思を再現し、それを維持する事で、収入を得ています。

 

例えば、真冬の、超寒い時に刷った、高級バニラアイスクリームのカタログが有ったとして、

そのカタログが、真夏の、クソ暑い時に、増刷が掛かる事だってあるワケです。暑さのため、

インキが軟らかく成り、網点が太ってしまって、暗めのバニラアイスに成ってしまったとしたら、

こりゃね、納品不可能なんですよ。刷り直しなんですわ。

 

「画線の変化が起こりやすい」から仕方ないとか、そんな、生っチョロい事を言ってたんでは、

プロとして食って行けないんですよ。それどころか、顧客から、取引停止を言い渡されて、

会社自体の存続すら、危うく成ってしまう。・・・今はね、そう言う厳しい時代なんですわ。

 

今一度、プロのオペレータとして、自分の技量、知識、そして、仕事に対する姿勢。

そんな事を、よ~く、見直してみて下さい。そしていつか、自分が刷った、胸の張れるような、

素晴らしい印刷物を、私に見せて下さい。・・・楽しみにしています (^^)v