印刷技術 箇条書きの言葉 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

間もなく、4月です。私が単身赴任で住んでいるアパートは、大学生さん達の

専用アパートみたいな所で、住民の9割が大学生さんです。一番近い大学は、

龍谷大学なので、そこの方が多いのかな? 毎年3月は、凄まじい引っ越しの

オンパレードです。出て行く人、入って来る人・・・。

 

見てて楽しいのは、新しく入って来る人ですね。つい先日まで、高校生だった

人達なワケですよ。まだ18歳ですわね~。(あ、浪人除くですね) 引っ越しは、

家族総出のイベントのようで、ほとんどは、お父さんと、お母さん同伴ですわ。

・・・独り暮らし専用のアパートですから、住むのは子供さんだけですけどね。

 

このアパートは、5階建て40室以上の規模なんですが、住民の中では、おそらく、

私が一番、年上だろうと思います。・・・ある時、私が自分の部屋から出た瞬間、

引っ越し真っ最中のご一家に出会うと、一番肝心な18歳の住民さんは、会釈すら

する事も無く、サッと私から目を逸らせました。その後ろで、ご父兄さんが深々と、

頭を下げておられる。・・・ウチのアパートの、毎年の光景ですわ~。

 

体育会系の高卒者なら、まだチッとは挨拶も出来るんですが、文系の連中は、

出来ない人が多いですね。・・・これとは、真逆な話ですが、ウチのアパートの

大学生諸君にも、就職活動の時期が訪れるワケでして。リクルートスーツを着て、

私が乗ってるエレベータに同乗して来てくれたら、こりゃ楽しいのなんの(笑)。

 

「おいおい、これから面接だろう。年長の者が先に乗ってるエレベータに乗り込んで

来たんだから、『失礼します』の一言くらい言わんとアカンだろう。君が、これから行く

面接会場の面接官として、私がその場に居たら、絶対に内定は、もらえないよ。」

 

「エエッ!面接官の方ですかッ!」・・・「ハハハ、昔やってました(笑)。でもね本当に、

一歩、家を出たら、もう面接が始まってると思わなきゃアカンですよ。どこで、誰と

出会うかなんて分からないんだから、最低限、挨拶だけはしましょうね。」

 

4月です。皆さんの会社にも、新卒の人達が入って来る事も有ろうかと思います。

昔の新卒者に比べれば、ゲームで鍛えられてるせいか、ケッコウ反応が速い人が

多いように感じます。でも、会話が成り立たない人が多いのも事実です。

 

言葉がね、「箇条書き」で発せられるんですわ。「だと思います」「分からないです」

主語が無いんですよね。接続詞も助詞も無いから、本当に箇条書きなんですわ。

これでは、意思が伝わらないですよね。「あいつは、やる気が有るのか無いのか、

サッパリ分からんわ~」なんて、諸先輩方から言われてしまいますね。

 

が、しかしですッ!印刷現場の諸先輩方、あなた達も、箇条書きで、指導をしては

いませんか?「あれ、やってくれ」 「それ、やっとけ」 「ウエス持って来い」なんてね。

箇条書きでは意思が伝わらんのですよ。その言葉を受けた新卒者達は「あの先輩、

仕事を教えてくれる気が有るのかなぁ?」と不安に成ってしまいますわね。

 

「いいか、ここが汚れてるだろう。ここが汚れると、印刷物も汚れてしまうんだ。だから、

ウエスに洗浄剤を付けて、キレイにするから、ウエスを持って来てくれ」・・・こう言えば

教育にも、指導にも成りますね。でもね、最近の若者は、「ウエスって何ですか?」って

聞いて来るんですよね~。

 

「ウエスも知らんのか、このガキは~ッ!」と、言いたいところですが、私が過去に指導

した25歳の男性に「スパナ取って~」って言ったら、六角レンチを持って来ましたよ(笑)。

・・・そんなもんです。相手は、何の専門知識も、ヘタすると、一般的な社会常識すらも、

ほとんど分かっていない、超々々々~~ドシロウト!なんですよ。

 

そのガキ(失礼)、ドシロウト(う~ん、チョッとだけ失礼)、新卒者を、一人前の社会人に

育てて行くのが、我々、年長者の役目なんですわ。今時ね、ドツいて叱って育てる時代

ではありませんわね。一つ一つ、根気よく教えてやって下さいませ。

 

印刷現場の人達ってのは、毎日、同じメンツで仕事をしてるってケースが多いですよね。

そう成ると、1から10まで言わなくっても、ヘタすりゃ、1 を言うだけで、相手に自分の

思いが伝わってしまいます。そんな事に慣れて行くと、どうしても、言葉が箇条書きに

成ってしまいがちなんですわね。

 

箇条書きの言葉で正確に意思が伝われば、そんな楽な事は有りませんが、箇条書き

ってのは、もともとは、自分のための覚え書き、メモみたいな部類のものなのですよ。

そんな、自分しか分からない言葉で、新卒者を指導する事は出来ませんよね。

本当に、根気よく、根気よく、自分も初心者に戻ったつもりで指導してやって下さい。