印刷Q&A 高感度UVの紅色 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

以前にも回答されていたかも知れませんが、もう一度、

教えて下さい。油性で刷られた「M 100 +Y 20 」のベタ部分の色が、

高感度UVでは、黄色く成ってしまい、どうしても色調を合わせる事が

出来ません。高感度UVで、この色を出すためには、どうやったら良い

でしょうか。

 

● 回答

 

そうですね、確か数年前に書いた覚えが有りますが、もう一度書きましょう~。

問題は、高感度UVインキの、「紅」の原色の色なんですわ。油性の紅ほどの

鮮やかさが有りません。黒っぽいか、黄色っぽいかって感じです。

 

今回は、黄色っぽく成ってしまうって事ですので、まずは、「M 100 + Y 20」を、

Y を無しにして(Y の胴をOFFにして)、M 100 のみで刷ってみて下さい。

これで刷った色調と、油性で刷った、M 100 + Y 20 とを比較してみて下さい。

 

その比較をしてみて、油性のY が入った物より、高感度UVの、Y=0 の物の方が

黄色かったら、こりゃもう、アウトですね。紅1色でも、黄色く成ってしまたら、こりゃ

太刀打ちのしようが無いですわ。(特に超耐光インキの紅は要注意です)

 

以前、私も同様の経験をしていて、お客さんが、その色調に強いコダワリが有った

ため、高感度UVインキでは再現不能と言う事で、油性の外注先で刷って頂きました。

原色の色調の差ってのは、何とも成りません。

 

紅の単色が黄色いからと言って、紅を 90% の平網にしたって、全くアカンですし、

紅 100 に例えば、藍5%の網を加えたって、こりゃアカンです。色には「彩度」って

言う、いわゆる「鮮やかさ」を示す数値が有って、他の色を混ぜれば混ぜるほど、

彩度が落ちて濁ってしまうので、キレイな色は出せませんわね。

 

最近の油性インキは、本当にキレイです。それに対して、高感度UVインキってのは、

油性インキには入らない「紫外線硬化剤」って言うのを入れなくては成らないんですわ。

本物のUVなら、紫外線の波長域が広いですから、様々な硬化剤を選択する事が

出来るんですが、高感度UVは波長域が狭いので、硬化剤の選択肢が無いんですよ。

 

その硬化剤が、黄色かったり、黒かったりするので、鮮やかな色が出せないってワケ

なんです。・・・私も初めて、油性から高感度UVに変わった時、色調の出方でメチャ

迷いました。油性が完全な「透明インキ」とするならば、高感度UVインキって、まるで、

「不透明インキ」みたいに思えてしまいました。

 

今は多少、改善されているかも知れませんが、やはり高感度UVのインキは、根本的に

鮮やかではありません。ですから、油性で刷った物の増刷が有って、その中に紅のベタ

などが有る場合は、本刷りに掛る前に、一度、高感度UVインキで校正刷りを刷ってみて、

それを、お客さんに、ご覧にいれて、良し悪しの判断を頂いた方が良いと思います。

 

全部刷ってしまってからクレームで、改めて油性で刷り直し!なんて成ったら、こりゃ

大変ですもんね。・・・あまりコダワリの無い印刷物も有る事と思いますが、化粧品系の

印刷物とか女性モデルが出て来る物、パッケージ系の印刷等は、色調に対する評価が

非常に厳しいので、細心の注意が必要ですね。