初めての印刷機 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

皆さん、印刷会社に入社して、一番初めに触れた印刷機って、

何だったか覚えてます?私は、ハイデルの単色機、KORDでした。

この印刷機を触りたくて、これを保有してる会社を選んだってくらいに、

この印刷機に対する憧れが有りましたわ~。

 

この印刷機、今にして思えば、スゲェ機械だと思います。

およそ、安全機構などと言う物は無くってね、印刷中に回転してる、

どの部分にでも、簡単に手を突っ込めてしまいましたもんね(笑)。

 

全くの機械仕掛けですから、押しボタンとかは一切無し。

デッカいレバーを、ガッチャンコッ!と動かして印刷を開始します。

 

面白いのは、電気仕掛けのコンプレッサーとかポンプが無いって所です。

印刷機は、給紙にしても排紙にしても、必ずエアーで紙を制御していますから、

コンプレッサーとか、ポンプとかが付いているってのが普通なんですが、

コイツは、モーターの回転からピストンを動かして、エアーを作るって言う

方式なんですよ。(文章では分かり辛いですね)

 

給紙テーブルや、排紙テーブルも、自分の手で、一生懸命にハンドルを

グルグル回して、昇降させます。この辺りのブレーキが甘くて、油断してると、

勝手にハンドルが回って、下降し過ぎてしまう事が有るんですよ~。

 

全くの機械仕掛けですから、下降し過ぎや、調整レバーの不具合に対しても、

その対応は、全くのアナログ。ゴムで縛ったり、オモリを付けたりして、皆さん

いろんな工夫をしながら、何とか手なずけてましたね~。

 

自称「KORD名人」なんて人が、ケッコウ居ましてね。・・・私はまだ、20歳前

でしたので、そんな偉そうな事など一切言える立場では無かったです(笑)。

でも、その名人の方達の動きを見てるのが大好きでしたわ~。

 

まだ、現役で動いているKORDが有ると、時々、聞きます。もし本当なら、

最新の物でも、40年以上昔の物に成るワケです。

 

遠い青春時代に付き合った彼女と再会するような気持で、

もう一度、現役のKORDに逢いたいですねぇ。

あっ、もう怖くて、それで印刷する気には、全く成らないと思いますが(笑)