印刷Q&A 刷り出し時間 | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

印刷会社で、工務をやっています。

1日分の仕事を組む際に、ロットの短い(印刷数量が少ない)仕事を、

何台、入れるかで、いつも悩みます。当社の場合、1つの仕事が終わって、

次の仕事の刷り出しまでに、50分~1時間程度掛かっているのですが、

ここを短縮できれば、もっと生産台数を多くする事が可能だと思われます。

そこで質問なのですが、この、1時間~50分と言うのは、他社さんと比べ

標準的なのでしょうか?当社の印刷オペレータは「これくらいは標準だ」

と豪語していますが、他社の状況を知らないので何とも言いようが無い

状態です。(紙積みの補助者と二名体制で作業しています)

 

● 回答

 

ハハハ、いろいろ大変ですね。そうですか、1時間~50分が標準だと、

そう、おっしゃられましたか。もし私が御社の工場長で、オペレータが、

そう言って来たとしたら、そうした場合の、私の回答は一つですねぇ~。

「分かった、君は必要無いから、明日、辞表を持って来なさい」

 

人間ってね、「やれない理由」は、いくらでも出せるもんなんですよ。

~が無いからやれない。ウチの設備ではやれない。経験がないからやれない。

やれない理由をタラタラと並べるような人間は、技術者として失格なんですわ。

そんな人間に振り回されていたら、会社自体の経営が危うく成ってしまう。

さっさと、辞めてもらった方がイイのですよ。

 

しかしまぁ、1時間~50分が標準だとは、よく言ったもんですねぇ~。

それは、全国レベルでも超遅い部類です。一つの仕事が終わって、ブラン洗浄、

その後に版替え。ここまでの2工程で、例えば、10分掛かったとしましょうか。

 

その後は、見当合わせと、色合わせですよね。こんな作業、10分で終わります。

ですから、トータルして、一つの仕事が終わって、次の仕事が始まるまでの、

インターバルは、20分でOKですよね。・・・この、20分より速い人も、沢山居ます。

 

まぁ、色合わせでチョッと悩んだり、上長等の意見を聞いたり、確認したりしても、

トータルで30分以内には、刷り出さないとアカンでしょう。

 

例えば、2千枚の印刷物が数台有ったとしましょう。最近の印刷機なら、2千枚を

10分足らずで刷れますよね。これにインターバルが20分ですから、2千枚なら、

1時間で、2台は仕上げなきゃアカン計算に成ります。(3台やる人もザラに居ます)

 

まぁ、1時間に2台として、8時間なら、16台って言いたいんですが、後片付け等も

考慮に入れて、8時間で、14台なら普通だと思わなにゃアカンですね。ですからね、

8時間で14台やれず、2時間、残業したとしましょうか。こりゃね、残業代を払うだけ、

会社経営が苦しく成ってしまうって事なんですよ。

 

これを、御社のオペレータさんだと、定時までに、7台しか出来ないワケですよねぇ。

そりゃ、経営者さんも、大変ですわね。14台なら、7~8時間分の残業代を支払う

計算に成りますわねぇ。そりゃ、アカンでしょう。

 

オペレータの意識改革ってのは、本当に大変な事だと思います。

でもね、意識改革が出来なければ、会社諸共、沈没してしまう時代なんですよ。

「出来ない理由」を並べるヒマが有るなら、「出来る方法」を考える。そう言う姿勢

じゃないと、本当に倒産してしまいますよ。