印刷Q&A 水無しベタ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

先日、他の方のブログで、湿し水を使わない、いわゆる

め〇らベタ(差別用語なので、今は使えない?のかな)で刷ったら、

非常に綺麗なベタが刷れた。と言う記事が有りました。私はベタでも、

必ず版を作り、湿し水を使っているのですが、本当は、使わない方が

良いのでしょうか?

 

● 回答

 

「目の不自由なベタ」とか言ったら、よけいに差別用語に成ってしまいそうですね。

私の友人は、「ブラインド・ベタ」って言ってました。これ、なかなかイイですよね。

 

白抜き文字などの無い、完全なベタ刷りの場合、湿し水を使うか使わないかって

のは、ケッコウ、賛否両論が有るんですよ。ちなみに、私の場合は、湿し水が大好き

ですから必ず、版を作って、湿し水を使って印刷をします。

 

湿し水を使う派の私達に言わせれば、「使わない方がキレイだ」と言ってるような

ヤツは、湿し水を使う技術が未熟なんだ。などと思っています(笑)。・・・この場合の

湿し水を使う技術ってのは、エッチ液の選択、使用方法、機械メンテ等々、全ての

事を指して言っています。

 

私が常日頃から言っているように、印刷品質の中で、一番基本に成るのは、ベタの

品質なのですわ。今時は、印刷機に付いてる濃度計などで、品質の管理をしてます

よねぇ。咬か咬尻に、測色用のパッチを付けて、それを読み取り、評価して、制御を

して行きますよね。

 

そのパッチの中に、ベタの部分が有るのですが、このベタがガサガサだったりしたら、

こりゃもう、正確な管理なんぞ出来るワケが無いんですよ。そう言う意味では、ベタが

キレイに刷れないってのは、品質管理装置を使ったって意味が無いって事なんです。

 

「水無しでベタを刷ったら、超キレイに刷れた!今後、ベタは水無しで刷ろうッ!」って、

そりゃあなた、もう、技術者として失格ですわ。ベタではない、普通の印刷の場合は、

当然、湿し水を使ってるワケでしょう。その、水有りの時のベタ品質に関しては粗悪な

状態でも目をつぶるの?妥協してしまうの?

 

「水無しでベタを刷ったら、超キレイに刷れた!今後は、水有りでも、このベタを目指す!」

ってのが、技術屋として一番大切にしなきゃアカン考え方でしょう。・・・問題点を発見する

能力が有るから、改善が出来る。改善が出来るから、技術が向上するんですわ。

 

水無しと水有りで、ベタの品質が変わってしまうってのは、ものスゴく大きな問題点であり、

自らの印刷技術を向上させる、大チャンスなのです。それを、安易に、水無しに逃げて

しまっては、大チャンスを逃したも同然。メチャもったいない話なのです。

 

理論的な話をし出すと、超長く成ってしまいますので、今回は、技術者としての心構え、

みたいな点から解説させて頂きましたが、今、水有りのベタをされている質問者さん、

私は、あなたを応援します。いつか、あなたのベタを拝見させて下さい(^^)v