印刷Q&A タック紙印刷の注意点 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

来週、タック紙でカラーを刷る仕事が、3万枚、入りました。

今まで最高で、5千枚と言うのはやった事が有るのですが、

3万枚は初めての経験に成ります。何か特別な注意点など

有りましたら教えて下さい。

 

● 回答

 

タック紙、3万通しですか~。3万枚の置き場所を確保するだけでも大変ですね~。

タック紙って、粘着用の糊が付いた紙ですよね。・・・実は私も、以前お世話に成っていた

印刷会社で、タック紙3万通しって言うのを、年に4~5回ほどやっていたんですよ。

 

タック紙って、段ボールに入って来ますよね。100枚づつビニール入れされてたりして、

その束が5つ入って、1箱500枚入りとかですよね。・・・実はね、あの段ボール箱と

ビニールの袋が、ケッコウな量の廃棄物に成るんですわ~。3万枚も刷ったら、

工場内は、段ボールとビニール袋で溢れ返ってしまいます。

 

3万枚から刷ると成ると、段ボールの箱を丁寧に開封してるヒマが有りませんよね。

そこで、バリバリ、ベリベリと、段ボールを破くようにして開封して行く事に成るんですが、

段ボールってね、破くとケッコウな量の紙粉とか、細かな切れ端なんかが出てしまうん

ですよ。そうした、紙粉や切れ端が付着してしまった手で、タック紙を積むと、そいつらが、

印刷面でヒッキーに成ってしまうんですわ。

 

ですからね、例えば、段ボールを裂く時は軍手を付けて作業をして、タック紙を

積む時には、素手で行うなど、紙粉や切れ端が、タック紙に絶対に付着しないよう、

細心の注意が必要に成って来ますね。

 

あと、タック紙には必ず、裏面に剥離紙が付いていますよね。普通の場合は黄色っぽい

紙だと思うんですが、あれってね、どうしても表面まで色が透けて来てしまうんですわ~。

ですから、シビアな色調を求められるような場合は、剥離紙を剥がして、実際に白い紙の

上なんかに貼って、色調を評価した方がイイですよ。

 

それと、タック紙を大量に刷る場合の最大の敵は、なんと言っても、あの「糊」なんですわ。

タック紙の端面(ドカンと積んだ時の、いわゆる側面)には、どうしても糊がはみ出していて、

手で触ってみると、ネチャネチャした状態です。

 

この糊がね、印刷機の、紙の通り道にイッパイ付着してしまうんですよ。紙積み台の咬部分、

兵隊の所とか、前アテ、横針の所等も、糊でゴテゴテに成ってしまうんですが、一番キツイ

のは、デリバリィです。印刷で圧力を掛けられますから、端面からの糊のはみ出しが多く

成ってしまうんでしょうね。紙揃えのサイドジョガーとかは、糊でコテコテに成ってしまいます。

 

まぁデリバリィの場合は、多少、紙揃いが悪く成る程度の事なんですが、前アテや横針に

糊が蓄積されると、アテ飛びや針飛びの原因に成ったり、給紙停止の原因に成ったりして

しまいますから、5千~1万枚通したところでの清掃が必要に成ります。

 

昔は、ブランケット回復剤で拭くのが手っ取り早かったんですが、今は有機溶剤の規制で

使えませんから、何が一番良いのか、資材屋さんに相談してみて下さい。それとですねぇ、

糊が印刷機に付く難くする方法として、シリコンスプレーを掛けるって言う手があります。

 

シリコンスプレーって、断裁機なんかで使っているスプレーです。コイツをね、フィーダーに

積み込んだタック紙の端面に吹き掛けてやるんですわ。完全に良好に成るワケでは

ないんですが、印刷機への糊付着を軽減する事は可能です。是非やってみて下さい。