「塗工紙」って言うと、印刷現場の方達には、馴染みが無い言葉かも知れませんが、
コート紙等、表面コーティングが施してある紙の事を、塗工紙って呼びます。塗工と
言うと、テカテカのコーティングを思い浮かべる方が多いと思いますが、マットコート紙
のような、艶消しコーティングも、もちろん塗工の仲間ですね。
例えば、テカテカのコーティングで言うなら、その塗工量によって、紙の名前が変わり
ますよね。最も塗工量が多いのが、アート紙。その半分の塗工量で、コート紙。もっと
少ない量で、軽量コート。一番少ない塗工量の紙が、微塗工紙ですね。
最近は、コート紙の品質が、メチャ良く成りましたので、あえて、アート紙を使う機会が
少なく成っているかと思うんですが、このアート紙とコート紙、製紙の歴史上、どちらが
先に作られたか?って知ってますか?
コート紙が一般的で、アート紙ってのは高級な用紙って感じですから、「先にコート紙が
作られた!」って答える方が多いのですが、正解はその逆。アート紙が先に作られて、
その後で、コート紙が開発されたんですわ~。
コーティングってね、安定して薄く塗る技術が、非常に難しいのだそうです。そりゃね、
ゆっくりノンビリ塗工して行くのなら、まぁ大した事もないのかも知れませんが、製紙
ってのは、凄まじいスピードで、その生産が進行して行くんですよ。
超高速の中で、薄く安定した被膜を作って行く。デカい原紙の全面に、そうした被膜を
作って行くワケですから、そりゃ大変ですわね。ですから、軽量コートや、微塗工なんて
非常に薄い塗工の紙が作れるように成ったのは、そんなに古い話ではないんですわ。
こうした、表面がテカテカの紙の王様と言えば、こりゃやっぱり、キャストコート紙ですね。
アート紙よりも、もっとスゴイ光沢を持った紙ですから、こりゃメチャメチャ沢山の塗工が
されてるのか?って言うと、実は塗工量自体は、普通のコート紙以下なのだそうです。
んじゃ、なんであんなにテカテカなのか?実はね、コーティングした後の、乾燥時間が
一番大きく影響を与えるのだそうです。スーパーキャレンダーなんて呼ばれる、製紙の
工程の中の、いわゆる艶出しパート。ここをゆっくりやって、艶をシッカリ出すワケですわ。
事実上、普通のコート紙を作る場合の、10倍の時間を掛けて作るのが、キャストコート
なのだそうです。 ・・・たまには、紙の話もおもしろいでしょう (*^^)v