印刷Q&A 色調の見方 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

● 質問

 

先日、難しい印刷物(銀製の宝飾品)を、お客さんの立会いで刷りました。

お客さんは、校正刷りよりも赤いから、もっと青く!と言うのですが、

自分の眼では、校正の方が赤く感じてしまいます。こうした場合の差を

埋めるには、どうやって見れば良いのでしょうか?

 

● 回答

 

ハハハ~、グレーとかシルバーとかの商品を刷るのって、本当に大変ですよね。

見当が少しズレてるだけでも、赤浮きや藍浮きが出てしまうし、ほんのチョット

湿し水の量を替えただけでも、色調が変わってしまいますよね。

 

まず、ご自分とお客さんとの感覚の差ですが・・・。お客さんと同じ光源で見てますか?

ご自分は印刷機のコントロールテーブルの光源で評価してますよね、ひょっとして、

立会いに来られたお客さんは、別室で待機されてて、その部屋の光源で見てません?

 

光源が違うと、グレーやシルバーって、まるで別物に見えてしまう事が有るんですわ。

お客さんを印刷機まで連れて来る事が難しい場合は、ご自分もお客さんの隣に行って、

同じ光源、同じ目線で見て、評価を聞く事が大切です。

 

あとね、意外に知らない人も多いんですが、校正刷りと印刷物の置き方も問題なん

ですよ。校正=右、印刷物=左に置いて見た時と、その逆に、校正=左、印刷物=右

に置いて見た時では、青味と赤味が逆転する事が有ります。

 

これは、実験するのも簡単ですから、是非やってみて下さい。グレー、シルバーとか、

茶色なんて色調を判断する時に、校正を右に置いて、まだ赤味が足らんか~、なんて

思った場合、左右逆に置くと、あれ!赤過ぎるやんッ!ってな具合に成ります。

 

右目と左目の見え方の差だとか、いろいろな解釈が有りますが、私は、光の入り方の

差なのではないかと思っています。・・・んで、こうした場合の見え方を補正する方法

なんですが、いろいろやってみましたが、次の方法が一番良いかと思います。

 

印刷物を切って、校正刷りに重ねるってやり方なんですが、例えば、今回のように、

銀製の宝飾品の場合でしたら、印刷物の方を、その宝飾品の写真の中央部分で、

カッターで切ってしまいます。

 

切って半分に成ってしまった印刷物を、校正刷りの、その部分とピッタリ合わせて、

校正刷りプラス、切った印刷物で、一つの写真に成るようにして評価するって言う

やり方です。これだと、かなり微妙な所まで、シッカリと差を判別する事が出来ます。

お客さんと同じ場所で、このやり方で見てやれば、お客さんとの意見の差が無く成り

ますよね。

 

特色の単色刷りでも、こうして切って当ててやると、その差が明確に成りますね。

最近は、LEDの照明とかが増えて来たでしょう、こうした照明の差って本当に厄介

なんですわ~。後から別光源で見て「なんじゃ!この色はッ!」ってクレームにされて

しまうよりも、立ち合いでOKを頂いた方が絶対に安全ですから、頑張って下さい!