網点角度45度 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

突然ですが。 印刷会社の皆さん、皆さんの会社では、網点角度45度に、

何色をもって来てますか? これね、私にとっては非常に重要な事なんですわ。

 

まず、何を言ってるのか分からん人のために、チョッとだけ解説をしましょうね。

我々がカラー印刷をする時、墨、藍、紅、黄の4色を使いますよね。この4色を

網点で表して、刷り重ねるワケなんですが、例えばですよ、その網点が4色共、

全部、同じ角度だったら、どう成りますか?

 

4色の網点が、全てキレイに重なってしまうので、黒の色彩しか表現出来ない

ですよね。カラー印刷にとって、これはアカンわけですわ。そこでですねぇ~、

4色の網点が、出来るだけ重なり合わないように、それぞれの色の網点に

角度をつけて、刷り重ねると言う、やり方をするワケなんですわ。

 

ところがです。メッタやたらに角度を付けてしまうと、「モアレ」と言う干渉縞が

出来てしまうんですね。ですから、モアレが出ないように、決められた角度が

有るんですよ。・・・45度を基準にして、75度、15度と、それぞれ30度づつ

振って網点を作って行くんですわ。

 

「あれ?カラーって、4色刷りでしょう。15、45、75じゃ、3つじゃないですか。

 あと残りの1つは、どうするんですか?」  そうですよね。実はですねぇ~、

黄色を、0度に配置します。黄色ってね、モアレが出ても分かり難いんですよ。

 

さて、最初に戻って、もう一度質問です。皆さんの会社では45度は何色ですか?

・・・最近、墨=45度 にしている印刷会社が多いんですわ。確かにね、カラー印刷の

中に、モノクロ写真が入ってて、それが重要な写真だとしたら、私も墨=45度にします。

でも、普通のカラー印刷で、墨=45度なんて、私には信じられんのですわ。

 

なんで?と思って、ネットで検索してみると、名立たる有名サイトが、「一般的には、

墨=45度、紅=75度、藍=15度」 なんつって解説してるんですよ。いやいや、

こりゃアカンです。日本の印刷物はね、絶対に、紅=45度じゃないとアカンです。

 

実際にね、紅=75度で、女性の顔写真とか刷ってみて下さい。ハーフトーンの部分とか、

ザラザラに紅が乱れてしまって、見れたもんじゃないですよ。私に言わせれば、墨=45度

ってのは、ヨーロッパ仕様ですわ。ブルーの瞳を持った欧米の方達は、紅に対する感覚が、

我々、茶色の瞳の人間とは違うんです。

 

例えばグレーバランス。茶色の瞳では、藍浮きのグレーを、ヨシ!としますが、ブルーの瞳

では、その逆で、紅浮きのグレーをヨシ!とします。日本で、エッチな映画を、ピンク映画って

昔は言っていました。これを欧米では、ブルーフィルムって言うんですよ。

 

茶色の瞳では、ピンクをイヤラシイと感じる。ブルーの瞳は、ブルーをイヤラシイと感じるって

わけなんですわ。ですからね、網点も欧米仕様の、墨=45度ではアカンのです。日本人が

見る印刷物には、紅=45度が絶対なんですよ。

 

私らの世代にとって、紅=45度ってのは、絶対に譲れない常識ッ!なのですが、ネットで

平然と、墨=45度なんて書かれてしまうと、「大丈夫か日本人ッ!君らの繊細な感覚は、

どこに行ってしまったんやッ!」などと、大声で叫びたく成ってしまいますわ。