先日、東京都内の印刷会社さんに訪問した時の話です。
あまり大きくはない会社さんで、A全判の4色機を、機長さんが一人で
稼働させていました。今、流行りの高感度UV機です。かなりマニアックな
機長さんで、ブランケット等、使用する資材に対しては、かなりのコダワリを
持っておられました。
品質はどうかな?と、ルーペで覗いてみると・・・ 関東圏の方って、メチャ
上手な方が多いですねぇ~。網点が超キレイ!ベタも抜群。こりゃスゲェなぁ~。
と思って見てたんですが、何かケチを付けないと、おもしろくないので、必死に
探してみたら・・・ おおッ!有りましたッ!こりゃアカンです!
藍ベタの上の、紅網の乗りが非常に悪いッ!これ、典型的なトラッピング不良
ってヤツです。紅の網点が、ガサガサに成って、藍ベタの上に乗っかってて、
もうねぇ、下地の藍の色が見え見えで、紅の色を判別する事が出来ないような、
そんなレベルだったんですわ~。
こう成るとアカンのが、例えば、藍100%+紅60%の掛け合わせの色ですわ。
本当は、紺色っぽい感じの色に成るんですが、紅の乗りが悪いから、青っぽい
色に成ってしまうんです。
30年位前はね、油性でも、こんな感じでした。仕方ないので、紅を2胴目に、
藍を3胴目に変更して、紅網を先刷りの、藍ベタを後刷りで逃れてましたね。
んでも、油性インキの性能が、どんどん良く成って、今は、この藍紅の乗りが
非常に良いですわ~。
トラッピングの話で、私がよく使うのが、朝食の話です。朝食のトーストに、
バターとジャムを塗りたい。この時、硬いバターを薄く塗れば、その上にジャムを
塗る事は容易なのだが、先に、軟らかいジャムを厚めに塗ってしまったら、
その上にバターを塗る事は不可能。
硬いか軟らかいか、厚いか薄いか、が問題なんですね。
普通のプロセスインキなら、藍の方が硬く(タックが高く)作られていますから、
硬いか軟らかいか?ってのは、あまり気にしなくても、イイように思うのですが、
インキってヤツは、湿し水が混ざる事で、一気に軟らかく成ってしまうんですわ。
ですから、藍の胴で湿し水が多いと、トラッピング不良が起きやすいですね。
また、湿し水が多いと、インキの濃度が低下しますから、どうしてもインキを
盛り気味にしてしまう。盛り気味=厚盛りですから、これもトラッピングを悪く
してしまう大きな要因に成りますね。
先刷りの藍で、湿し水を極力、少なくしてやれば、薄いインキ被膜でも、充分な
濃度を稼ぐ事が出来ますから、後刷りの、紅網のトラッピングは、とても良く成ります。
・・・これってね、ウチ(コスモテック)のCF が、超得意とする分野なのですわ。
今回の、東京の印刷会社さん、CFを導入したら、天下無敵の品質に成るん
やけどなぁ~。入れてくれはらへんかなぁ~。(と、軽く京都弁)