紙積み3年! | 1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田の印刷技術

1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

昨日、大手の印刷会社さんの記事を、ネットで読んでました。
「2チャンネル」なので、内容的には、それなりに過激です。
まぁ、記事のほとんどは、いわゆる「愚痴」ですね。
 
チョチョイと教えられて、入社して2週間目で、印刷機のオペレータをやる。
なんて話には、超ビックリです。・・・色調見本とかが全く無くて、濃度値と、
ゲイン値の数値管理のみで刷るので、これでも出来るのなか?
 
まぁ、我々の時代では、考えられない話ですわ~。我々の時代は、まず、
「紙積み3年」とか、言われてましたもんねぇ~。上質紙だとか、コート紙
だとか、超薄い紙から、超厚い紙、はたまた、片面を印刷した後の、
変なクセが付いてしまった紙なんてヤツまで、全ての紙が難無く積める
ように成るためには、少なくとも1年掛かる。
 
・・・この、1年ってのはね、いわゆる「四季」ですわ~。春夏秋冬ね。
湿度が低くて、カラカラに乾燥している時の紙と、その逆に、ジメジメの
高湿度の時の紙なんてのは、それぞれに扱い方が変わりますね。
 
片面を印刷した紙を、ひっくり返して積む時には、温度(室温)によっても、
ずい分と、紙クセが変わりますから、クセの強制方法だとか、積み方等も、
緻密に考えなくちゃアカンですよね。
 
何とか、まともに紙が積めるように成ったら、今度は「フィーダー調整」です。
薄い紙、厚い紙、クセの有る紙、上質紙、純白ロール、和紙・・・
全部調整方法が違ってて、それもまた、季節や天候で、調整が変わって
しまいます。そうした事を覚えるのに、2年かな。
 
昨日の、大手の印刷会社さん、使う紙に関しては、ほぼ一定なんですよ。
この印刷機はコート紙専用とか、厚みも90kg限定、大きさもA全判限定で、
両面機なので、ひっくり返す必要もナシ。なんて具合なので、およそ無調整で
済んでしまうんでしょうねぇ~。
 
オレね、思うんですよ。印刷技術ってね、非常に広範囲で、しかも奥が深い。
そうした技術を、一つ一つ、苦労をしながら身に付けて行くから、自分自身の
印刷技術ってのには、それ相応の「プライド」を持つ事が出来る。
 
痛い目を見て、辛い思いをして覚えた技術だから、ふと気付くと、この印刷業
ってヤツに、ドップリと、はまり込んでしまっているんですね。
 
私は「印刷技術」だとか、「印刷業」ってのが、本当に好きなので、いまだに、
この業界で働いています。・・・昨日の大手さん、1~2年で会社を辞める人が
多いそうです。でも、ほとんど、まともな修行をしていませんから、普通の
印刷会社で勤まるワケもなく、印刷業界を離れてしまいます。
 
そうした若い人達に、印刷のおもしろさ、印刷技術の素晴らしさ、なんて事を、
教えてあげられるチャンスが有ればなぁ~、と、つくづく思う次第です。