●質問
僕の担当機が、ハシモトF-561Mと20年以上前の古いもので、各所にガタがきています。
磨耗の為、爪調整がなかなか均等に出来ません。メーカーに聞くと、爪はダイヤモンド系?
の金属で出来ているそうで基本交換不要だそうです。受けは、特にチェーングリッパーが
削れて少し凹んでいます。
現在、各胴の爪の圧調整をしていますが原動側何箇所かにまだ爪痕が出る状態です。
伝票専用の機械だそうで、薄紙系は問題ないのですが、厚紙系は爪痕が出てしまい、
特に刷り流しの賞状用紙など仕上げのない仕事で困っています。
これの対処があれば教えて頂きたいのと、出てしまった爪痕をなるべく目立たなくする
方法があれば教えて頂ければ有難いです。よろしくお願いします。
●回答
またまた、そりゃ古い機械ですねぇ~。いろいろ便利な所も有るので、古いからと言っても
なかなか手放す事が出来ないんですよねぇ~。「ダイヤモンド系の金属」ってのは無い
んで、金属の表面に工業用のダイヤが散りばめてあるってヤツでしょうね。しかしながら、
交換不要ってワケには行かんでしょうねぇ。
爪跡ってのは、基本的には「全く出ない」ってのは無理なんですよ。爪調整って言うのを
自分でやってみれば分かりますが、薄い紙を爪に挟んで、それを引っ張ても抜けない
ように調整しますよね。そんな強さで紙を咥え込んでいるワケですから、こりゃ、跡は、
絶対に残ってしまいますし、それを回避する事は不可能です。
薄い紙でも、その状態なのに、同じ強さで厚い紙を咥えれば、もっと強い跡が出て
しまうのは、こりゃ仕方のない事ですわ。昔(今でも有るかも知れませんが)の機械は、
薄紙用と厚紙用の爪圧を、簡易的な方法で切り替え出来る仕組みが付いてたり
する物が有りましたね。
印刷屋さんってね、何でもかんでも、1つの印刷機でやってしまおうとするから、
全てが、うまく行かなく成ってしまうし、無駄が多く成ってしまうんですよ。
多くの経営者さんが、自分で印刷機を使っているワケではないので、そうした事が
判らないんですわ。
例えば、この印刷機は菊半切しか刷らない。他のサイズの紙は一切刷らない。
四六の4ツ切りを刷るのは、隣の4ツ切り専用機。って事にしたら、ブランの紙端の
凹みとかを一切、気にする必要が無くなりますから、ブランの寿命が圧倒的に伸び
ますよね。フィーダーの調整も、ほぼ無調整で済むでしょう。
厚紙専用機、薄紙専用機なんてのの区別は、こりゃ当たり前。もっと言うなら、
4色機で、墨の1色刷りをやるなんて、もってのほかです。遊んでる3胴の空転する
ローラーの消耗を長い目で考えたら、単色機を買うお金くらい、出てしまいます。
こうした事を、緻密に考えて、合理的にやってるのが、印刷通販系の会社さん
なんですね。何台も機械を並べて、それぞれ専用機にしています。
まぁ、とは言え、何でもやらなきゃ成らないのが、我々、中小・零細の印刷屋さん
ですわ~。でもね、何でもやる!と言っても、当然、限界が有るワケですよ。なので、
餅は餅屋って言葉通り、うまく外注を使う事をお勧めしたいですね。
今回のように、断ち代の無い賞状なんて、オンデマンドでやったらイイんじゃない
ですか?ありゃ爪の無い機械ですから、爪跡は絶対に付きませんし、どうせ刷る量も
たいした枚数ではないですよねぇ。今時のオンデマンドは、データ処理で、何とでも
絵柄の調整ができますから、ヘタをすると、オフで刷るよりも良い仕上がりに成る事が
有りますよ。・・・何でも刷ろうとしちゃアカンです。餅は餅屋に任せなきゃね。