技術系のブログで~す。
今時の4色印刷機って、ほとんどの場合、濃度計なんてのが着いてて、その数値で、
印刷を進めて行きますよね。単純に考えれば、濃度が低ければ、インキを盛る、
濃度が高ければ、インキの盛り量を減らす。
なんて事を、濃度計測の数値を元に、自動で調整してくれたりするワケですわ。
こうして考えてみるとね、インキの盛り量ってのは、濃度計が有れば、盛り過ぎや、
盛りの不足なんて事を、数値化して教えてくれるって事なんですよね。
それに対して、湿し水。この湿し水の出し量は、何かが教えてくれますか?
何か計測器が有って、インキと同じように数値化が出来ればイイんですが、
これが出来てないのが、湿し水なんですよね~。
んじゃ、湿し水の量を決定してるのは何?
これはねぇ、オペレータの「経験と勘」なんですよ。計測器なんてのは、本当に
何も無いワケですから、マジな話、オペレータの経験と勘だけを頼りに制御して
るんですわね。
経験と勘と言っても、各オペレータ独自の経験値だったり、先輩から伝授された
ノウハウだったりするので、正直なところ、各社各様で、統一性は全く有りません。
湿し水の量を見極めるために、未だに刷版の光り方で見ている人もいれば、刷版の
咬の部分の汚れ方を見て判断する人。制御する水の量に関しても、汚れるか汚れんか、
そのギリギリを狙う人もいれば、必ず余裕を持って、若干多目の設定にする人もいたり。
指導をする私にしても、ただ単に「絞れ」と言っても、印刷機の構造も違うし、工場の
環境も違う、エッチ液の種類や添加量なども、本当にバラバラなわけなので、全ての
ケースに対応出来るような、そんな単純な話じゃないんですよねぇ。
でもね、オフセット印刷にとって、最も重要な「湿し水の調整」ってヤツが、未だに
俺たちオペレータの技量に頼っているとしたら、それはそれで、技術屋としては、
最高に嬉しい事だと思いませんか。
俺たちの技量一つで、印刷品質が格段に変わって行くワケですよ。こりゃ本当にね、
技術屋冥利に尽きる素晴らしい事だと思うんです。だからこそ、腕を磨き、知識を
勉強して行く価値が有るのだと、そう、思っています。