技術系のブログで~す。
版胴の直径と、ブラン胴の直径って、同じじゃないって知ってます?
版胴とブラン胴を、同じ直径で仕立てる方式を「同径法」って言うん
ですよ。オフセット印刷機の開発当初は、この同径方が使われてました。
今は、どのオフセット機も、ブラン胴を版胴より細く仕立てると言う、
「トルーローリング法」が採用されています。具体的には・・・。
標準の印圧って 0.10mmですよね。ですから、この 0.10mmを、版胴の
オーバー量として仕立てるんですね。ブラン胴の標準直径を±0mmと
仕立てて、直径で言うなら、0.10×2で、0.20mm版胴を太く仕立てるんです。
なんで、こんな事をするかと言うと・・・ 版胴とブラン胴を、同じ位置に置いて、
ヨーイドンで、ちょうど1周するように転がしてやるんですわ。この時に版胴と
ブラン胴が同じ直径ならば、1周した時の到達点は、同じに成りますよね。
ところがです!印刷と言うのは「印圧」と言う圧力を加える事に成りますよね。
ですから、版胴とブラン胴を並べて、ヨーイドンで転がす時に、両方の胴に、
印圧と言う圧力を掛けながら転がしてやると、版胴の方は鉄の塊りみたいな物
ですから、圧力を加えながら転がしても到達点は変わらないのですが・・・。
ブラン胴の表面はゴムですよね。いわゆる弾性体ってヤツです。こいつに、
上から圧力を加えてやると、軟らかいゴムの部分がタワむんですね。
タワんだままゴロゴロ転がして行くと、表面が伸びてしまうために到達点が
長く成ってしまうんです。
印圧という圧力を加えた状態では、両者の到達点が変わってしまう。つまり、
円周長が変わってしまうのと同じなんですよ。円周長が違うもの同士を接触
させて回してしまったら、こりゃ、ウマく噛み合わないですよね。
そこで、圧力を加えた時に、円周長が同じに成るように考えられたのが、
トルーローリング法ってヤツなんですわ。ブラン胴を版胴よりも細く仕立てて
やるってだけの事なんですが、印刷機ってのは、いろんな事が、本当に緻密に
考えられ、作られているって事を理解してもらえれば嬉しいです。
逆に言うなら、ツブレが悪いからと、ブラン胴をオーバーパッキンにして、
このトルーローリングを崩してしまうと、エッジピックやら、ヘタをすると、
ダブリのようなトラブルが出やすく成ってしまうって事も覚えておいて下さい。