印刷Q&A 本機校正 | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

最近、インクジェットでは、色調見本に成らない。と言う物が増えて来ました。
特にダメなのが、用紙の問題で、インクジェットの用紙が独特の色をしている
ので、やはり、本紙で色調見本を作って欲しいと言う事に成り、本機での校正
をする物が多く成って来ています。
実際にやってみると、自分の機械で、自分が刷ったにも関わらず、校正刷りの色に
なかなか合わせる事が出来ずに苦労をしています。なにかコツは有りますか?

●回答

ハハハ、本機校正って意外に難しいでしょう。
確かにね、あのインクジェットの紙の色はアカンですね。異常なくらい青いと言うか
何と言うか、とっても変な色の紙ですよね。あの紙の色でOKが出てしまうと、例えば
女性の顔色とかは、本当に困ってしまったりしますよね。

いつの展示会だか忘れましたが、本紙にプリントが出来るインクジェットプリンター
ってのが出てました。我々が使う本紙に、表面処理をして、その上からインクジェット
で、プリントして行くって感じだったと思います。なかなか良い感じでしたよ。

実は、私が少し前までやってた仕事が、全て本機校正を行う物だんたんですわ。
化粧品関係の物なので、色調はメチャメチャ厳しかったですよ。初校から始まって、
再校、三校なんてのは当たり前、スゴイのに成ると、五校とかまで有りましたもんね。

やった経験のある人は分かると思いますが、化粧品関係って、本当に色調が厳しいです。
化粧品ってのは、色調そのものが商品だったりしますから、厳しいのは当たり前なん
ですけどね。

例えばですねぇ、自分の機械の調子が悪い時に、校正刷りをやったとしますよねぇ。
その後、機械の調子が良く成ってから、校正刷りに色調を合わせて本刷りをしようと
しても、こりゃなかなかウマく行かないですよね。本機で校正刷りを刷る場合、
機械のメンテとかは、絶対に良好じゃないとアカンですね。

あと、印刷機って、1日の内でも、コンディションが、ずいぶん変わりますよね。
例えば、朝一の状態と、2万枚も3万枚も印刷した夕方近くの状態では、こりゃ
ケッコウな違いが出てしまうんですわ~。なので、校正刷りをやる場合は朝一限定!
とか言って、ある程度、時間を制限しておくとイイですね。

それと、本当に困るのが日数の経過だったりします。3月の寒い頃に初校が入って、
本刷り開始が、暖かく成った5月半ば頃だったりすると、こりゃもう、本当に色が
合わせんですわ。校正刷りから本刷りまでのインターバルってのは、出来るだけ
短い方がいいですね。

校正刷りって、数枚しか刷らないですよね。それに対して、本刷りは大量に刷ります。
大量に刷る物と、数枚しか刷らない物の色調を合わせるってのも、ケッコウ難しいです。

本当にね、自分の機械で、自分で刷った校正刷りに合わせられないってのは、こりゃ
情けない話ですから、機械のメンテを始め、今回、解説したこと等に注意しながら、
技術を磨いて行って下さい。