印刷Q&A 刷版のキズ | 1級技能士・成田の印刷技術

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1級技能士・成田が、オフセット印刷技術を解説します~。

●質問

このところ、刷版のキズが入ったまま印刷して納品してしまうと言うミスが
頻発してしまいました。絵柄の余白部分や、文章の文字の間などに、紅版の
引っ掻きキズのような物が入ったまま、気付かずに印刷してしまった等々。
再発防止の対策として、成田さんがおっしゃるように「行動を変える」と言う
ことで討議した結果「印刷前の刷版を、印刷機に着ける直前のタイミングで、
全て、プレートクリーナーで拭く」と言うことに成りました。
全部の版を拭くと言うのは大変なんですが、この方策で行こうと思っています。
この方策の場合、何か他の問題が出てしまうような事はないでしょうか?

●回答

版キズですか~。文章を読ませて頂いていると、つい最近起こった感じですかね。
と言う事は、今までは、あまり起きてなかったって感じなんでしょうかねぇ。

「4M変動」って言葉が有るんですわ。マン、マシーン、マテリアル、メソッド。
つまり、人、機械、材料、方法の、4つの要素が変わった時に、ミスが起き易い。
ってことなんですよ。例えば、新入生が入って来て、刷版を扱うように成ったとか、
印刷機の何かが変わった、刷版の版材が変わった、刷版を扱う方法が変わった。

今回の版キズ発生、この4Mに関して、何か変動は有りませんでしたか?
私の経験だと、CTPの自動現像機のメンテ不足で、ガムが異常に薄く成ってしまい、
刷版にキズが入りやすく成ってしまった。なんて事も有りました。
急にキズが入り出したのであれば、まずは、この辺りの原因を究明してみて下さい。

さてと、対策の方の、プレートクリーナーで使用直前に、刷版を全て拭く。って
ヤツなんですが、これは最悪な事だと考えて下さい。決してやってはいけません!

プレートクリーナーってヤツはね、いろいろと悪さをしてしまうんですわ。
緊急事態を除けば、出来るだけ使わないようにするってのが正解なんですよ。

特に、今時は連続給水ですよね。版面上に残ったプレートクリーナーが、水の
着けローラーに付いてしまい、その成分が、湿し水の冷却タンクに戻ったりすると、
こりゃもう、湿し水そのものの性質が変わってしまいます。

プレートクリーナーが無ければ、何とも対応出来ないって事も、いろいろ有ると
思いますが、そうした場面で使う時でも、出来るだけ少量にして、その後は必ず
乾拭きをするなど、絶対に残さないようにするべきなんですよ。

ましてや、使用前の版を、すべてプレートクリーナーで拭くなんて事は、こりゃ
メチャメチャ最悪な事だと認識して下さい。決して、やってはいけません。