●質問
いつもブログ拝見させていただいております。
オフ平両面機(三菱菊全)でオペレーターを担当しています。
以前からもあったのですが、先日ローラー交換をしたところ、そのユニットの給水が、
さらに不安定に成り水飛びのトラブル(ローラー両端)で困っています。全判の紙では、
ある程度大丈夫なのですが半裁の紙だと版面用紙外の水上がりが多く水が飛ぶという具合です。
水を下げれば印刷面が汚れるし少しでも上げると水とびが顕著に表れ大変困っています。
給水関係のニップ、スキューも基準値で水元ローラーのねじをかなり絞って印刷している状態
です。何か他に考えられる原因がありましたらよろしくお願いいたします。
●回答
三菱の両面機だと、例の2階建ての機械ですかねぇ?三菱に限らず、2階建ての機械は、
下の胴の管理が本当に大変ですよね。熱がメチャメチャ上がってしまうので、水上げと
汚れに関しては、常に過酷な闘いに成ってしまいますよね。
それと、もう一つ、2階建ての機械の下胴って、インキ壺が下の方に付いていますよね。
普通の機械は、インキ壺が一番上に付いています。つまり、上に付いてるインキ壺から、
下に向かってインキが流れて行くワケですわね。
上から下へ、ってことは物理的に考えて、非常に普通な状態なんですが、下胴では、
下から上に向かって、インキも、湿し水も、重力と逆らって上げて行かなくては成らない
ってワケなんですよ。・・・これは、構造的に非常に無理が有りますよね。
と言うような点から、2階建て両面機の下胴を使いこなすためには、相当な研究が必要
かと思います。特に、今回のような、湿し水に関するトラブルに関しては、いろいろと
試行錯誤する事が必要でしょうね。
私自身は、2階建て式を使った事が無いのですが、様々な印刷工場で見させて頂く事は
多々有りまして、そのたびに、使い難そうな機械やわ~と、思っているような次第です。
あと、実は私自身も、新品の水ローラーを使うのが嫌いです。おっしゃるように、やはり
取り替え当初は、非常に調子が悪いです。古いローラーの方が、絶対に良かったなぁと、
いつも、そう思ってしまいます。
水関係で交換するローラーって、ゴム(または樹脂)ですよね。私、思うんですけど、
ゴムって、決して水と仲良しではないんじゃないでしょうか。・・・例えばですよ、
水関係のローラーに水を一切与えず、版面をインキでベタにして、そこに水の無い状態の
水ローラーを版面タッチさせたら、全ての水ローラーにインキが着きますよね。
ローラーニップ確認の際に、この方法を使う事があるんですが、このあと、インキが
ベタベタのままの状態で、水ローラーに湿し水を与えて回転を掛けてみると、クロムの
ローラーは、勝手にインキが取れて、すぐにキレイに成ってくれますが、ゴムローラーは、
いつまで経っても、インキがベットリのままですよね。
ゴムってね、親水性か親油性かって言ったら、明らかに親油性の性質が強いと思います。
その、油と仲良しのゴムローラーに、湿し水を運ばせようってんですから、こりゃもともと
ある程度の無理があるのですわ~。
そこで登場するのが、水系ゴムローラーの洗浄剤です。これには、もちろん洗浄作用も
あるのですが、親水化作用と言って、水と仲良しにする作用を持った物も有るんですわ。
実はね、新品の水系ゴムローラーって、紙の包装紙で保護して保管されていますが、
ゴムの内部から、可塑剤なんてのをはじめ、いろんな物が出て来て、その表面は新品と
言えども、けっこうヤバい状態なんですよ。
ですから、新品の水ローラーを付けて、そのまま印刷をスタートさせるのではなく、
印刷する前に、親水化作用を持った水ローラー洗浄剤で、いつもの手入れよりもシッカリと
超キレイに成るように洗浄してやって下さい。
これだけでも、少しは楽に成ると思いますが、もともと、決して仲良しではない水とゴム
ですから、やっぱり、仲良しに成るには、ある程度の使い込みが必要なようです。
また、こうした水系のゴムローラーに関しては、各ローラーメーカーとも、いろいろと
改善した物を出しているようですから、是非とも、ローラーメーカーに相談してみて下さい。